GPT-6.1 Terra は前の Terra からどれだけ伸びた? Sol の半額モデルを Codex で比べた

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2026年10月26日、OpenAI は新しいモデル GPT-6.1 Terra を公開しました。画像の読み取り、画面を見てアプリを動かす操作(Computer Use)、文章づくりに強い「速くて効率のよい」モデルで、API の料金は 100 万トークンあたり入力 $1・出力 $5。9月末に出た GPT-6.1 Sol のちょうど半額です。

新しいモデルが出ると、気になるのは次の 2 つではないでしょうか。

  • 前の世代の Terra(GPT-5.6 Terra)から、精度はどれくらい上がったのか
  • GPT-6.1 Sol・GPT-6 Astra・GPT-6 Luna などほかの GPT と比べて、費用の面で本当に得なのか

この記事では、OpenAI の発表記事に埋め込まれたグラフの元データ、第三者の評価機関 Artificial Analysis の測定、そして筆者の Mac で Codex を使って GPT-6.1 Terra・GPT-5.6 Terra・GPT-6.1 Sol に同じ 16 題を 3 回ずつ解かせた結果の 3 つから、この 2 つの問いに答えます。

GPT-6.1 Terra の要点を 4 枚のカードで示した図。前の Terra からの伸び、単価、他の GPT との費用比較、手元の Codex 比較の結果

図1:この記事の結論。PC 作業と画像では「Sol の半額で Sol 以上」、コーディングでは「思考量を上げると費用は Sol に近づく」というのが全体像です。

この記事は次のような方を想定しています。

  • ChatGPT Work や Codex で、GPT-6.1 Sol と Terra のどちらを使うか迷っている方
  • OpenAI API で画像の読み取りや画面操作のエージェントを作っていて、費用を下げたい方
  • 発表の数字を、自分の業務で確かめる手順を知りたい方

この記事の確認範囲

  • 公式情報:OpenAI の発表記事「Introducing GPT-6.1 Terra」、システムカード追補(deploymentsafety.openai.com)、API の Model ページ・料金ページ・Using GPT-6 ガイド、ChatGPT/Codex の料金ページと変更履歴を 2026年10月27日に確認しました。グラフの数値は、発表記事のページに埋め込まれたグラフの元データから取り出しています。
  • 第三者の測定:Artificial Analysis のモデルページに埋め込まれたデータを 2026年10月27日に取得しました。
  • 手元の比較:Codex CLI 0.164.0、ChatGPT(Codex Pro)ログインで 2026年10月27日に実行しました。API キーでの呼び出しは試していません。

GPT-6.1 Terra とは:GPT-6 ファミリーの「速い中くらい」

いまの OpenAI のモデルは、性能と料金で 4 段に分かれています。いちばん上が最高性能の GPT-6 Astra、次が「Astra に迫る」とされる GPT-6.1 Sol、最も安くて速い GPT-6 Luna です。今回の GPT-6.1 Terra は、Sol と Luna の間に入ります。

GPT-6 ファミリーの 4 段の図。Astra $10/$50、6.1 Sol $2/$10、6.1 Terra $1/$5(新登場)、Luna $0.10/$0.50。右に前の世代の GPT-5.6 Terra(7/9 公開、$2/$12、旧 GPT-5 の mini 相当)

図2:Sol と Luna の間は単価で 20 倍の開きがありました。Terra はそのちょうど間を埋めるモデルです。

ひとつ注意したいのは、「GPT-6 Terra」というモデルは出ていないことです。前の Terra は 7月9日公開の GPT-5.6 Terra で、OpenAI の Model ページでは「以前の GPT-5 ファミリーの mini に相当する」と説明されています。今回はそこから一気に 6.1 世代へ進みました。そのため、この記事の「前の Terra」は GPT-5.6 Terra を指します。

主な仕様は次のとおりです。

項目GPT-6.1 TerraGPT-5.6 Terra(前)GPT-6.1 Sol
API のモデル IDgpt-6.1-terragpt-5.6-terragpt-6.1-sol
コンテキスト(一度に読める量)105 万トークン105 万トークン105 万トークン
最大出力12.8 万トークン12.8 万トークン12.8 万トークン
知識の締め切り2026年6月1日2026年2月16日2026年4月30日
思考量(reasoning effort)none〜max(既定 medium)none〜max(既定 medium)low〜max(none なし)
入力テキスト・画像テキスト・画像テキスト・画像
使える場所ChatGPT Work・Codex・APIAPI・CodexChatGPT Work・Codex・API

思考量(reasoning effort)は、答える前にどれだけ考えさせるかの設定です。Terra は「考えずにすぐ答える」none から最大の max まで 6 段階を選べます。Sol と Astra には none がないので、考えずに大量の処理をさせたい場合は Terra か Luna になります。

ChatGPT では、Terra は ChatGPT Work と Codex でだけ選べ、通常の Chat では使えません。対象は Plus・Pro・Business・Enterprise・Edu です(発表記事では Plus・Pro・Enterprise・Edu、Codex の料金ページには Business も記載)。Enterprise では管理者の設定にも左右されます。

料金:単価は Sol の半分、前の Terra より 5〜7 割安い

まずは単価です。API の標準価格を、前の Terra と GPT-6 ファミリーで並べました。

API 標準価格の表。Astra $10/$1/$50、6.1 Sol $2/$0.1/$10、6.1 Terra $1/$0.05/$5、5.6 Terra $2/$0.2/$12、Luna $0.1/$0.01/$0.5。Codex の Plus で 5 時間に送れる目安は Astra 5-45 回、Sol 15-160 回、Terra 35-285 回、Luna 350-3,000 回

図3:6.1 Terra の単価は 3 項目とも Sol のちょうど半分。前の Terra と比べると出力で 58%、キャッシュ入力で 75% 安くなりました。

モデル入力キャッシュ入力出力Codex クレジット(入力/出力)
GPT-6 Astra$10$1$50250/1,250
GPT-6.1 Sol$2$0.10$1050/250
GPT-6 Sol$2$0.20$1050/250
GPT-6.1 Terra$1$0.05$525/125
GPT-5.6 Terra(前)$2$0.20$1250/300
GPT-6 Luna$0.10$0.01$0.502.5/12.5

単位:ドル/100 万トークン(入力 27.2 万トークン以下)。Codex クレジットも 100 万トークンあたり。2026年10月27日時点。

キャッシュ入力とは、前回と同じ前置き(システムの指示や長い資料など)を繰り返し送ったときに適用される割引単価です。エージェントは同じ前置きを何十回も送り直すので、ここが安いと効いてきます。6.1 Terra は通常入力の 5%($0.05)で、前の Terra の 4 分の 1 です。

そのほかの料金ルールは、ほかの GPT-6 ファミリーと共通です。

  • 入力が 27.2 万トークンを超えるリクエストは、入力が 2 倍・出力が 1.5 倍になります(リクエスト全体に適用)
  • Batch(まとめて後で処理)と Flex(混雑時は遅い代わりに安い)は半額、Fast(優先処理)は 2 倍です
  • 超高速の Ultrafast は Astra と 6.1 Sol だけで、Terra にはありません

ChatGPT のプランで使う場合、Codex の料金ページには Plus で 5 時間に送れるローカルメッセージの目安が載っています。6.1 Terra は 35〜285 回で、6.1 Sol(15〜160 回)の約 2 倍です。Pro には 5 時間の上限がありません。

ここで大事なのは、単価が半分でも、1 回の作業にかかる費用が半分になるとは限らないことです。費用は「単価 × 使ったトークン数」で決まり、トークン数は思考量やモデルの癖で大きく変わります。この点は後半で数字を使って確かめます。

前の Terra からどれだけ伸びたか:OpenAI の数字

OpenAI の発表記事には 6 つのベンチマークのグラフがあり、そのうち 5 つに前の GPT-5.6 Terra の値が載っています。それぞれ何を測っているかを先にまとめます。

ベンチマーク測っているもの
Agents’ Last Exam v1専門職の PC 作業。建築図面から 3D モデルを作る、アニメ映画を 1 カットずつ見て修復用の記録を作る、など
OSWorld 2.1(オフライン版)デスクトップアプリを何段階も操作して作業を終える力
MMMU-Pro(Vision)画像を見て考える問題
Terminal-Bench 4.0コマンドラインでの開発作業。読み込み中にレイアウトが崩れる Web ページを直す、など
Terminal-Bench-Science 0.1コードを使った科学研究の作業。タイムラプス動画で細胞分裂を追う、など
事実の誤り率(社内評価)誤りが出やすい難しい質問で、事実の誤りを含む回答の割合。低いほど良い

同じ思考量どうしで、前の Terra と 6.1 Terra を並べたのが次の図です。

5 つのベンチマークについて、medium と max の 2 つの思考量で GPT-5.6 Terra から GPT-6.1 Terra への変化を示したダンベル図。Agents' Last Exam medium 42.6→57.6、OSWorld medium 27.4→66.7、MMMU-Pro medium 76.4→84.6、Terminal-Bench 4.0 max 21.5→50.3、事実の誤り率 medium 51.5→10.1

図4:すべての項目で改善しています。とくに既定の medium での伸びが大きく、OSWorld は 27.4% から 66.7% と 2 倍以上になりました。

ベンチマーク5.6 Terra medium6.1 Terra medium5.6 Terra max6.1 Terra max
Agents’ Last Exam42.6%($0.84)57.6%($0.29)50.7%($3.58)60.0%($1.01)
OSWorld 2.127.4%($0.59)66.7%($0.50)57.1%($4.76)74.2%($1.19)
MMMU-Pro76.4%84.6%81.7%85.5%
Terminal-Bench 4.0(公表なし)35.8%($0.46)21.5%($5.25)50.3%($1.84)
事実の誤り率(低いほど良い)51.5%10.1%22.3%4.3%

かっこ内は OpenAI が推定した 1 タスクあたりのコスト。出典:OpenAI 発表記事のグラフの元データ。

表から読み取れることは 3 つあります。

1つ目:点数が上がり、しかも 1 タスクのコストは下がっています。 たとえば max の Agents’ Last Exam は、前の Terra の $3.58 から $1.01 へ約 7 割減りました。単価が下がったことに加えて、同じ作業をより少ないトークンで終えるようになったためです。

2つ目:画面を見て動かす作業の伸びが特に大きいです。 OSWorld 2.1 は medium で +39 点、Agents’ Last Exam は medium で +15 点です。OpenAI が「Computer Use を強化した」と言っている部分は、数字でもはっきり出ています。

3つ目:Terminal-Bench 4.0 の「2 倍超」には注意が要ります。 前の Terra の値は max の 21.5% しか公表されておらず、これは 5.6 Terra の発表時の値(published score)です。同じ条件で測り直した値ではないので、次の節で第三者の測定と照らし合わせます。

事実の誤りは、全項目の中で最も大きく改善しました。思考量ごとに見ると、変化の形がよく分かります。

思考量 low〜max ごとの事実の誤り率の折れ線グラフ。5.6 Terra は low 53.6% から max 22.3%、6.1 Terra は low 16.7% から max 4.3%。6.1 Sol 4.4%、Astra 4.2%、Luna 18.4%(いずれも max)

図5:前の Terra は low で半分以上の回答に誤りがありました。6.1 Terra は low でも 16.7%、medium なら 10.1% まで下がります。

前の Terra は「たくさん考えさせないと誤りが多い」モデルでしたが、6.1 Terra は 少し考えるだけで誤りが大きく減るようになりました。max の 4.3% は Sol(4.4%)・Astra(4.2%)とほぼ同じです。一方、最安の Luna は max でも 18.4% なので、事実の正確さが大事な用途では Terra 以上を選ぶ理由になります。

第三者の測定でも伸びは本当か:Artificial Analysis

開発元の数字は、評価の条件を開発元が決めています。そこで、各社のモデルを同じ条件で測り直している Artificial Analysis(以下 AA)の値も確認しました。AA は公開の翌日(10月27日)の時点で、6.1 Terra の測定結果をすでに載せていました。

Artificial Analysis の測定で GPT-5.6 Terra と GPT-6.1 Terra を比べた棒グラフ。総合指数 max 42.1→48.1、medium 30.1→41.3、Terminal-Bench 4.0 35.4→55.6、Terminal-Bench Science 13.8→57.6、知らないのに答える率 87.9→38.0、MMMU-Pro 80.7→84.7

図6:第三者が測っても、6 項目すべてで前の Terra を上回りました。

項目(AA の測定)5.6 Terra6.1 Terra6.1 SolAstra
総合指数(Intelligence Index、max)42.148.151.852.7
総合指数(medium)30.141.347.849.6
Terminal-Bench 4.0(max)35.4%55.6%56.1%59.1%
Terminal-Bench Science(max)13.8%57.6%58.1%63.3%
知らないのに答える率(低いほど良い)87.9%38.0%54.3%51.3%
知識問題の正答率46.8%49.1%62.1%62.6%
出力の速さ(トークン/秒)135916968

出典:artificialanalysis.ai のモデルページの埋め込みデータ(2026年10月27日取得)。知識問題は AA-Omniscience。

ここから分かるのは次のことです。

  • 総合指数は max で +6 点、medium で +11 点。 OpenAI の数字と同じく、既定の medium での伸びが大きいです。ただし 6.1 Sol(51.8)・Astra(52.7)にはまだ届きません。
  • Terminal-Bench 4.0 は 35.4% → 55.6%。 AA の測り方では前の Terra が 35.4% だったので、伸び幅は「2 倍超」ではなく +20 点です。それでも 6.1 Terra は 6.1 Sol(56.1%)とほぼ同じ高さまで来ています。
  • 知らない問いに無理に答える率が大きく下がりました。 87.9% → 38.0% で、Sol・Astra より低い値です。ただし知識問題の正答率は 49.1% で、Sol(62.1%)より 13 点低いです。つまり 6.1 Terra は「知っていることは Sol より少ないが、知らないときに『分からない』と言える」モデルです。ハルシネーション(もっともらしい誤り)を避けたい用途では、この性質は役に立ちます。

速さについて、OpenAI は「Agents’ Last Exam のタスクを Astra・6.1 Sol の 3 倍以上速く終える」と書いています(時間の数値は非公開)。AA の測定でも、出力の速さは 91 トークン/秒で、Sol の約 1.3 倍でした。

他の GPT と比べた費用:どこで Terra が得をするか

ここからが 2 つ目の問い、費用の比較です。OpenAI のグラフは、横軸が 1 タスクあたりのコスト、縦軸が点数になっています。同じ費用でどれだけ点が取れるかを見るには、この形がいちばん分かりやすいです。

PC 作業(Agents’ Last Exam)では Terra が最も効率がよい

Agents' Last Exam のコストとスコアの散布図。6.1 Terra は $0.16〜$1.01 で 55.9〜60.0%、6.1 Sol は $0.70〜$2.00 で 52.4〜58.6%、Astra は $3.55〜$7.24 で 53.4〜59.3%、5.6 Terra は $0.59〜$3.58 で 40.2〜50.7%、Luna は $0.022〜$0.14 で 36.3〜50.9%、Opus 5.5 max は $8.82 で 63.2%

図7:6.1 Terra の線(濃い緑)が、ほかの GPT よりも左上にあります。左上ほど「安くて高得点」です。

専門職の PC 作業を測る Agents’ Last Exam では、6.1 Terra はどの思考量でも 6.1 Sol より上で、1 タスクのコストは Sol の 2〜5 割です。medium の 57.6% は Astra の medium と同じ点数で、1 タスクのコストは $0.29 と $4.82、約 17 分の 1 です。max の 60.0% は Astra の max(59.3%)も上回り、GPT の中で最高でした。全体の最高は Claude Opus 5.5(63.2%)で、6.1 Terra max はその 3.2 点下、コストは約 9 分の 1 です。

コーディングとデスクトップ操作では、Sol の低い設定が手強い

一方で、コマンドラインの開発(Terminal-Bench 4.0)とデスクトップ操作(OSWorld 2.1)では様子が違います。

Terminal-Bench 4.0 と OSWorld 2.1 の散布図。Terminal-Bench では Sol low 47.1% が Terra xhigh 46.4% より安くて上、max 同士は Terra 50.3%・$1.84 と Sol 55.9%・$1.98。OSWorld では Terra max 74.2%・$1.19 と Sol medium 73.5%・$0.65 がほぼ同点

図8:Terra の線(緑)の上に Sol の線(黄)があります。同じ費用なら Sol のほうが点が高い場面があります。

Terminal-Bench 4.0 では、Sol の low(47.1%・$0.76)が Terra の xhigh(46.4%・$0.99)より安くて上です。max 同士ではコストがほぼ同じ($1.84 と $1.98)で、Sol が 5.6 点上回ります。OpenAI 自身も「最も複雑なコーディングには 6.1 Sol と Astra が引き続き良い選択」と書いています。

OSWorld 2.1 でも、Terra の max(74.2%)は Sol の medium(73.5%)とほぼ同点ですが、コストは約 1.8 倍です。前の Terra から見れば大きな進歩ですが、「Terra なら必ず安い」とは言えません。

理由は単純で、Terra は思考量を上げると使うトークンが一気に増えるからです。単価は Sol の半分でも、トークンが 2 倍になれば費用は同じになります。

単価が半分でも、請求が半分になるとは限らない

この傾向は、AA が総合指数の評価を一式回したときの費用にも表れています。

Artificial Analysis が総合指数の評価一式を回した費用の棒グラフ。Astra max $5,324、5.6 Terra max $2,501、6.1 Sol max $1,082、6.1 Terra max $909、6.1 Sol medium $361、6.1 Terra medium $175、Luna max $122。総合指数と出力トークン数も併記

図9:max 同士だと、6.1 Terra は 6.1 Sol より 16% 安いだけです。出力トークンを Sol の 1.9 倍使っているためです。

設定評価一式の費用総合指数出力トークン
GPT-6 Astra max$5,32452.76,001 万
GPT-5.6 Terra max$2,50142.11 億 2,183 万
GPT-6.1 Sol max$1,08251.86,720 万
GPT-6.1 Terra max$90948.11 億 2,815 万
GPT-6.1 Sol medium$36147.81,527 万
GPT-6.1 Terra medium$17541.31,448 万
GPT-6 Luna max$12238.11 億 4,438 万

前の Terra と比べれば、6.1 Terra max は費用が 64% 減って指数が 6 点上がりました。ところが Sol と比べると、Sol の medium(47.8)は Terra の max(48.1)とほぼ同じ指数を、約 4 割の費用で出しています。medium 同士なら Terra は Sol の約半分の費用ですが、その分、指数は 6.5 点低くなります。

ここまでの比較を、作業の種類ごとにまとめます。

作業6.1 Terra と 6.1 Sol の関係(OpenAI の数字)費用面での結論
専門職の PC 作業(Agents’ Last Exam)どの思考量でも Terra が上、コストは約半分Terra が有利
画像の推論(MMMU-Pro)medium で 84.6% 対 84.7%、コストは約半分Terra が有利
事実の正確さmedium で Terra 10.1%・Sol 12.0%(誤り率)Terra が有利
科学研究の端末作業(Terminal-Bench Science)max で Terra 58.3%・$4.15、Sol 57.0%・$5.47max なら Terra がやや有利
デスクトップ操作(OSWorld 2.1)Terra max ≒ Sol medium、コストは Terra が 1.8 倍Sol medium が有利
コマンドラインの開発(Terminal-Bench 4.0)Sol low が Terra xhigh より安くて上Sol が有利

手元で確かめる:Codex で 3 モデルに同じ 16 題を解かせた

ここまでの数字は、OpenAI や AA が用意した課題での結果です。ふだんの開発作業に近い形でも同じ傾向が出るのかを、筆者の Mac の Codex で確かめました。

手元の比較の手順。1 課題 16 題(実装・バグ修正 5、アプリ 2、推論の難問 9)、2 codex exec で 3 モデルを medium で実行、3 3 モデル×16 題×3 回=144 回、4 非公開テストと正解との照合で採点し、時間・ツール呼び出し・トークンを記録

図10:モデル以外の条件(課題・道具・思考量・時間帯)をそろえて、違いがモデルから来るようにしました。

課題は、9月30日に GPT-6.1 Sol を比べたときと同じ 16 題です。仕様どおりに実装する・バグを直す課題が 5 題(料金計算、バージョン番号の範囲判定、電卓、cron の次回実行時刻、日本語の正規化)、アプリを作る課題が 2 題(家計簿の Web アプリ、売上 CSV からの会議用レポート)、ツールを使わずに答える推論の難問が 9 問です。実装とアプリは、モデルに見せない非公開テストで採点します。

3 モデルとも思考量は既定の medium にそろえ、Codex CLI 0.164.0 の codex exec で各 3 回、合計 144 回を 2026年10月27日の午前に走らせました。費用は、記録したトークン数に API の標準価格を掛けた換算値です(実際には ChatGPT のプランの利用枠から引かれます)。

結果:正確さは同じ、時間と費用は Sol の約 3 分の 1

3 モデルの結果の表。実装・アプリ 7 題の満点は 6.1 Terra 21/21、5.6 Terra 18/21、6.1 Sol 21/21。1 回の時間は 29 秒・125 秒・91 秒。費用は $0.035・$0.160・$0.101。推論の難問の正解は 16/27・15/27・21/27、Terra を xhigh にすると 18/27

図11:実装の作業では 6.1 Terra が Sol と同じ正確さを、約 3 分の 1 の時間と費用で出しました。難しい推論では Sol が上です。

GPT-6.1 TerraGPT-5.6 Terra(前)GPT-6.1 Sol
実装・アプリ 7 題:満点の回21/2118/2121/21
1 回の時間(平均)29 秒125 秒91 秒
ツール呼び出し(平均)4.1 回6.3 回7.2 回
出力トークン(平均)2,5816,6474,566
1 回の費用(API 定価換算)$0.035$0.160$0.101
推論の難問 9 問×3 回:正解16/2715/2721/27
推論 1 問の時間(平均)8 秒41 秒91 秒
推論 1 問の費用(平均)$0.007$0.031$0.044

思考量はすべて medium。詳細は記事フォルダの bench/results/summary.md。

結果から分かったことは 4 つです。

1つ目:ふだんの実装作業では、6.1 Terra で十分でした。 7 題 × 3 回の 21 回すべてで、6.1 Terra は Sol と同じく非公開テストに満点でした。前の 5.6 Terra は、電卓の課題で 0 ** 0(0 の 0 乗)の扱いを 3 回とも間違え、1 項目ずつ落としています。

2つ目:速さと費用は、公式の説明以上に差がつきました。 1 回の時間は 29 秒で、Sol(91 秒)の約 3 分の 1 です。費用は $0.035 対 $0.101 で約 65% 安くなりました。単価が半分であることに加えて、出力トークンが Sol の 57%、ツール呼び出しも 4.1 回対 7.2 回と少なく、「ファイルを読む → 一度に直す → テストする」を短く終えていました。前の Terra と比べると、時間は約 4 分の 1、費用は約 5 分の 1 です。

3つ目:難しい推論では Sol が上です。 9 問 × 3 回の正解は Sol が 21、6.1 Terra が 16 でした。6.1 Terra は medium だとほとんど考えずに答えます(出力は平均 385 トークン、1 問 8 秒)。迷路の最短経路と、条件付きの順列の数え上げは、3 回とも数秒で「不明」「未算出」と答えて終わりました。Sol は迷路に 3〜4 分かけて取り組みましたが、正解は出せていません。長い文章の文字数えは、6.1 Terra が 3 回とも 1 つ少ない 18(正解は 19)で、Sol は 3 回とも正解でした。

4つ目:「分からない」と早めに言う性格は、AA の測定と一致しています。 前の節で見たとおり、6.1 Terra は知らない問いに無理に答える率が低いモデルです。手元でも、解けない問題をもっともらしい数字でごまかさず、「不明」と返しました。答えを鵜呑みにされるより安全ですが、粘って解いてほしい問題には向きません。

思考量を xhigh に上げると差は縮まるか

そこで、6.1 Terra の思考量を xhigh に上げて、推論の 9 問を 3 回ずつ解き直させました。

推論の難問 9 問×3 回6.1 Terra medium6.1 Terra xhigh6.1 Sol medium
正解16/2718/2721/27
1 問の時間(平均)8 秒24 秒91 秒
出力トークン(平均)3851,7072,652
1 問の費用(平均)$0.007$0.013$0.044

xhigh にすると、medium で 3 回に 1 回間違えていた大きな数の掛け算とコードの実行結果の追跡が、3 回とも正解になりました。迷路にも 1〜2 分かけて取り組むようになりましたが、正解には届きません。長文の文字数えは xhigh でも 3 回とも 18 のままで、Sol medium との差(3 問分)は残りました。

費用は xhigh でも Sol medium の 3 割ほどです。「Terra の思考量を上げると答えは安定するが、Sol が解ける問題を全部解けるようにはならない」というのが手元での結論です。公式の Terminal-Bench 4.0 で見た「Terra xhigh より Sol low のほうが上」という関係とも合っています。

安全性と挙動:システムカードで気になった点

PC 操作を任せるモデルでは、「指示されていないことをしないか」も大事です。10月26日に公開されたシステムカードの追補から、使う側が知っておきたい点を拾いました。

システムカードの要点を 2 列で示した図。安心できる点:安全策は Astra・6.1 Sol と同じ、社内 Codex の模擬運用で重大な逸脱 22 件(0.045%)で最少、検索ツール故障を黙る率 1.83%、自動レビューの拒否を回避した回数 0。気をつける点:環境の警告を別ルートでかわした率 29.6%、他のエージェントの持ちかけで禁止操作をした率 13.75%、評価だと気づく率 9.88%

図12:全体の逸脱は少ない一方で、「警告をかわして作業を終えてしまう」傾向は Sol・Astra より強めです。

安心できる点として、OpenAI は 6.1 Terra をサイバーセキュリティで最上位の「Critical」、生物・化学で「High」の能力水準として扱い、Astra・6.1 Sol と同じ安全策を適用しています。社内の Codex の使われ方を模擬した 48,690 件の作業では、重大な逸脱の判定が 22 件(0.045%)で、比べた 5 モデルの中で最少でした。

気をつける点は 3 つです。

  • アクセス拒否などの警告を受けたのに、別のやり方で作業を終えてしまった割合が 29.6%(max)。Astra・6.1 Sol・Luna より高く、GPT-6 Sol よりは低い値です。
  • 別のエージェントからの持ちかけで、禁止された操作をしてしまった割合が 13.75%(80 件中 11 件)。6.1 Sol の 1.25% より高い値です。
  • 思考の中で「これは評価だ」と気づいていた割合が 9.88% で、6.1 Sol(4.35%)の 2 倍以上です。評価の数字が実際より良く出ている可能性があります。

どれも、意図的に難しい場面を集めた評価の数字なので、ふだんの使用でこの頻度で起きるわけではありません。それでも、画面操作のエージェントに Terra を使うなら、操作できる範囲を絞り、送金や削除などの重要な操作は人の承認を挟む設計にしておくのが安全です。

使い分けと切り替え方

ここまでの結果を、モデル選びの目安にまとめました。

作業の中身からモデルを選ぶフローチャート。画面・画像・書類を見て進める作業なら GPT-6.1 Terra(medium から)、リポジトリの修正・ターミナル作業なら GPT-6.1 Sol(low〜medium、最難関は Astra)、判断の少ない大量の定型処理なら GPT-6 Luna か Terra(none)、迷ったら Terra medium から試して足りなければ Sol low

図13:Terra を max まで上げる前に、Sol の low・medium と比べるのがポイントです。

Codex で Terra を使う

Codex CLI では、-m でモデルを指定します。手元では 0.159.2 と 0.164.0 の両方で gpt-6.1-terra が動くことを確認しました。

# 対話モードを Terra で始める
codex -m gpt-6.1-terra

# 1 回だけ実行する(stdin を閉じないと入力待ちで止まることがある)
codex exec -m gpt-6.1-terra -c 'model_reasoning_effort="medium"' "テストが落ちている原因を調べて直して" < /dev/null

作業ごとに Terra と Sol を切り替えたいなら、プロファイルを作ると便利です。Codex CLI 0.164 のプロファイルは、~/.codex/<名前>.config.toml を基本の設定の上に重ねる方式です。

# ~/.codex/terra.config.toml(画面・書類・文章の作業用)
model = "gpt-6.1-terra"
model_reasoning_effort = "medium"
# ~/.codex/sol.config.toml(難しい修正用)
model = "gpt-6.1-sol"
model_reasoning_effort = "low"
# プロファイルを指定して起動する
codex -p terra
codex -p sol

筆者の環境では、codex exec -p terra の起動時の表示が model: gpt-6.1-terra・reasoning effort が設定どおりになることを確かめました。

API で Terra を使う

API では、モデル ID に gpt-6.1-terra を指定します。ツール(関数呼び出しや computer_use)を使うときは Responses API が必要で、Chat Completions ではツール呼び出しができません。次は、請求書の画像から項目を取り出す例です。筆者は API キーで実行していないため、動作は未確認です(書き方は OpenAI の Model ページと画像入力ガイドに沿っています)。

# pip install openai が前提。環境変数 OPENAI_API_KEY に <YOUR_API_KEY> を設定しておく
from openai import OpenAI

client = OpenAI()
resp = client.responses.create(
    model="gpt-6.1-terra",
    reasoning={"effort": "medium"},  # none / low / medium / high / xhigh / max
    input=[{
        "role": "user",
        "content": [
            {"type": "input_text", "text": "この請求書から、請求元・金額・支払期日を JSON で取り出してください。"},
            {"type": "input_image", "image_url": "https://example.com/invoice.png"},
        ],
    }],
)
print(resp.output_text)

前の GPT-5.6 Terra から移行する場合、OpenAI のガイドは「同じ思考量で、代表的な画像と作業を両方のモデルで比べる」ことを勧めています。Chat Completions でツールを呼んでいるなら、あわせて Responses API へ移す必要があります。

自分の業務で比べる

公式の数字も手元の数字も、あくまで「その課題での結果」です。最終的には、自分のリポジトリや画面操作で比べるのが確実です。

自分の業務で Terra と Sol を比べる 5 つの手順。1 代表的な作業を 10〜20 件選ぶ、2 同じ課題を 2 モデル×複数の思考量で各 3 回以上、3 成功率・時間・費用・ツール回数・操作ミスを記録、4 成功 1 件あたりの費用で比べる、5 作業の種類ごとに振り分けを決める

図14:比べるときは「成功 1 件あたりの費用」で並べます。安くても失敗してやり直すなら高くつくからです。

この記事の bench/run_bench.py は、手順 2〜4 をそのまま自動化したものです。課題フォルダを自分のものに差し替えれば、同じ形で測れます。

# 記事フォルダの bench/ で実行する
cd bench
# Codex CLI をこのフォルダにだけ入れる(グローバルの codex は変えない)
npm install --prefix ./.cli @openai/codex@0.164.0
# 個人の設定を読まない専用フォルダ(認証ファイルだけリンクする)
mkdir -p .codex-home && ln -s ~/.codex/auth.json .codex-home/auth.json
# まず 1 件だけ試す
python3 run_bench.py --tasks billing --trials 1 --configs terra61-medium
# 3 モデル × 16 題 × 3 回を実行して集計する(ChatGPT の利用枠を使う)
python3 run_bench.py --trials 3
python3 summarize.py

トラブルシューティング

切り替えのときにつまずきやすい点をまとめます。

症状原因対処
ChatGPT のモデル一覧に Terra が出ないTerra は ChatGPT Work と Codex 専用で、通常の Chat にはないWork か Codex を開く。Enterprise・Edu は管理者の設定も確認する
Chat Completions でツールが呼ばれないTerra のツール呼び出しは Responses API のみv1/responses に移す
Sol で none を指定するとエラー6.1 Sol と Astra は none に非対応Sol は low を使う。none が必要なら Terra か Luna
請求が思ったより高い思考量を上げると出力トークンが急に増える。27.2 万トークン超の入力は 2 倍medium から始め、xhigh 以上は Sol の low・medium と比べてから使う
codex exec が止まったまま進まない標準入力の追加入力を待っているコマンドの最後に < /dev/null を付ける
bench のアプリ課題だけ 0 点になる採点スクリプトの補助ファイル(tools/)が足りないbench/tools/webcheck.py があるか確認する。筆者も一度これで誤採点した

まとめ

GPT-6.1 Terra は、前の GPT-5.6 Terra から全項目で大きく伸び、しかも 1 タスクの費用は下がったモデルです。とくに画面を見て進める PC 作業と、事実の正確さの改善が目立ちます。

  • 前の Terra からの伸び:OpenAI の数字で OSWorld 2.1 は medium 27.4% → 66.7%、事実の誤り率は 51.5% → 10.1%。第三者の総合指数も 42.1 → 48.1(max)
  • 単価:入力 $1・出力 $5 で、6.1 Sol のちょうど半分、前の Terra より 5〜7 割安い
  • 他の GPT との費用比較:PC 作業・画像・事実の正確さでは「Sol の半額で Sol 以上」。コマンドラインの開発とデスクトップ操作では、Sol の low・medium のほうが安くて上の場面がある
  • 使い方のコツ:medium から始める。max まで上げる前に Sol の low・medium と比べる

次の一歩としては、自分の業務の代表的な作業を 10 件ほど選び、Terra medium と Sol low で「成功 1 件あたりの費用」を比べてみてください。

参考リソース

  • OpenAI「Introducing GPT-6.1 Terra」(2026年10月26日) https://openai.com/index/introducing-gpt-6-1-terra/
  • OpenAI「Addendum to GPT-6 Astra System Card: GPT-6.1 Terra」 https://deploymentsafety.openai.com/gpt-6-1-terra
  • OpenAI API:GPT-6.1 Terra の Model ページ https://developers.openai.com/api/docs/models/gpt-6.1-terra
  • OpenAI API:料金ページ https://developers.openai.com/api/docs/pricing
  • OpenAI API:Using GPT-6 https://developers.openai.com/api/docs/guides/latest-model
  • ChatGPT/Codex の料金と利用枠 https://learn.chatgpt.com/docs/pricing
  • ChatGPT/Codex の変更履歴 https://learn.chatgpt.com/docs/changelog
  • Artificial Analysis:GPT-6.1 Terra https://artificialanalysis.ai/models/gpt-6-1-terra

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