Claude Fable 5は何が変わったのか — Opus 4.8との違いを、実際にアプリを作って確かめてみた

claude

はじめに

2026年6月9日、Anthropic(アンソロピック)から新しいAIモデル「Claude Fable 5(クロード・フェイブル5)」が公開されました。

AIのニュースを追っていると、数週間おきに「新モデル登場」「ベンチマークで過去最高」といった見出しが流れてきます。けれども、こうしたニュースを読んでも「で、自分にとって何がうれしいの?」という疑問が残ったままになりがちです。スコアが何パーセント上がったと言われても、実生活や仕事でどう変わるのかは、なかなかピンと来ません。

この記事は、そんなモヤモヤを解消することを目的に書いています。想定している読者は、次のような方々です。

  • AIツールは使っているが、技術的な中身まではよく分からないという方
  • 「Opus 4.8」と「Fable 5」の違いを、ざっくりと知りたい方
  • AIで「実際にどのくらいのものが作れるのか」を、具体的に見てみたい方

そして本記事の後半では、新しく公開されたFable 5に、実際にひとつのWebアプリを「ゼロから」作らせてみました。その出来栄えを画面つきで紹介しますので、「最新のAIに任せると、どのくらいの完成度になるのか」を、ご自身の目で確かめていただけます。

それでは、まず「Fable 5とは何者なのか」というところから、順を追って見ていきましょう。

Fable 5とは何か — 「一段上のクラス」に位置づけられたモデル

これまでAnthropicのClaudeシリーズには、おおまかに言って「軽量・高速」のHaiku、「バランス型」のSonnet、「最も賢い」のOpusという序列がありました。直前の最上位モデルが、2026年5月末に登場した Claude Opus 4.8 です。

今回のFable 5は、この序列のさらに上に置かれた、新しい区分のモデルです。Anthropicはこれを「Mythos(ミュトス)クラス」と呼んでいます。Mythosクラスとは、従来のOpusクラスより上に位置する、能力面で一段上のClaudeモデルの階層を指します。

ここで少しややこしいのですが、ほぼ同時に「Claude Mythos 5」というモデルも発表されました。両者の関係を整理すると、次のようになります。

項目Claude Fable 5Claude Mythos 5
中身(基盤モデル)同じ同じ
安全装置(セーフガード)厳しめ一部の領域で解除
使える人誰でも(有料プラン等)ごく一部の信頼された機関のみ
主な用途通常の開発・知識労働サイバー防衛・生命科学研究など

FableとMythosは同じ基盤モデルを使っており、両者を分けているのは安全装置の有無です。Mythos 5のほうは、サイバーセキュリティや生物学といった「悪用されると危険な領域」での制限を外したバージョンで、政府との連携プログラムなど、限られた相手にしか提供されていません。

私たち一般の利用者が触れられるのは、安全装置が組み込まれた Fable 5 のほうです。名前の由来も洒落ていて、Fableはラテン語の「fabula(語られるもの)」に由来し、ギリシャ語の「mythos(神話)」と通じる言葉だとされています。同じ力を持ちながら、安全に語れる物語、というニュアンスでしょうか。

ここに至るまでの流れ

実は、Mythosクラスのモデルが世に出るのは、これが初めてではありません。今回のリリースを理解するには、少しだけ時間をさかのぼる必要があります。

2026年4月、Anthropicは最初のMythosクラスモデル「Claude Mythos Preview」を、ごく限られた相手にだけ公開しました。これは「Project Glasswing(プロジェクト・グラスウィング)」という、サイバー防衛を担う機関や重要インフラの提供者に向けた取り組みの一環でした。なぜ限定公開だったかというと、このモデルがソフトウェアの脆弱性(弱点)を見つけ出し、突く能力が、人間を超えるほど高かったためです。裏を返せば、悪意ある者の手に渡れば、大規模なサイバー攻撃の道具になりかねない、ということでもありました。

その後の数か月で、Anthropicは安全装置を磨き上げました。そして「一般公開しても悪用を確実に防げる」と判断できる水準に達したことで、今回のFable 5の一般公開に踏み切った、という流れです。Anthropicは当初から、十分な安全装置が用意できればMythos級の能力をすべての利用者に届けたい、という目標を掲げており、今回のリリースはその目標に向けた第一歩だと位置づけています。

つまりFable 5は、突然現れた新モデルというより、「危険すぎて限定公開していた力を、ようやく一般に開放するための安全な器」として登場した、と理解しておくと分かりやすいかと思います。

なぜ「クラスを分けてまで」公開したのか

普通、新モデルは「速くなりました」「賢くなりました」という前向きな話で語られますが、Fable 5は、その能力の高さゆえに「危険だから慎重に出す」という、やや異例のトーンで発表されました。

これほど高性能なモデルをリリースすることにはリスクが伴い、安全装置がなければ、サイバーセキュリティなどの分野で悪用されかねない、とAnthropicは説明しています。

そこで採られたのが、後ほど詳しく触れる「特定のテーマの質問は、わざと一段下のモデルに肩代わりさせる」という仕組みです。つまりFable 5は「フルパワーを出せる場面」と「あえて力をセーブする場面」を、自動で切り替えながら動いているわけです。

Opus 4.8と何が変わったのか

それでは本題の「Opus 4.8と比べて何が変わったのか」を見ていきます。

  1. 長く複雑な作業ほど差が開く(持久力)
  2. アプリを「一発」で作る力が上がった(コーディング)
  3. 画像や画面を「見て理解する」力が伸びた(ビジョン)
  4. 安全のために、あえて力をセーブする仕組みが入った(セーフガード)

順番に説明していきます。

観点1:長く複雑な作業ほど、差が開く

Anthropicが繰り返し強調しているのが、「タスクが長く複雑になるほど、Fable 5の優位が広がる」という点です。短い質問への一問一答では差が見えにくくても、何時間もかかる、込み入った作業になると、その差がはっきり出るというわけです。

これを象徴するエピソードとして紹介されているのが、決済サービス大手のStripe(ストライプ)による検証です。Stripeによれば、5000万行という巨大なRubyのコードベースで、本来ならチームで2か月以上かかるはずだったコード全体の移行作業を、Fable 5は1日で完了させたとのことです。

「2か月の仕事が1日」と言われても、エンジニアでなければ実感がわきにくいかもしれません。これは料理にたとえるなら、「ベテラン料理人のチームが2か月かけて作り変える予定だった膨大なレシピ集を、たった1日で、しかも品質を保ったまま書き直してしまった」ようなイメージです。それも、レシピをただ翻訳するのではなく、新しいルールに合わせて全体を整合的に作り直す、という難しい作業をです。

観点2:アプリを「一発」で作る力が上がった

非エンジニアの方に一番ピンと来やすいのが、この「アプリ生成」の話だと思います。

少し前まで、AIに作りたいアプリのイメージを伝えても、一度では満足のいくものができず、「ここを直して」「やっぱりこうして」と何十回もやり取りを重ねる必要がありました。この「対話を重ねて少しずつ仕上げる」やり方は、それはそれで有効なのですが、手間がかかります。

ところがFable 5では、この「一発で仕上げる力」が大きく伸びたとされています。あるツール提供企業のCTOは、1年前なら100回のやり取りが必要だったアプリを、Fable 5は一発で作り上げる、と評しています。

「100回が1回」というのは、開発のスピード感をまるごと変えてしまう話です。アイデアを思いついてから形にするまでの距離が、劇的に縮まります。本記事の後半では、まさにこの「一発生成」の実力を、実際のアプリで検証します。

観点3:画像や画面を「見て理解する」力が伸びた

3つ目は「ビジョン(視覚)」、つまり画像や画面を見て理解する能力です。

Fable 5は、この分野でも最高水準に達したとされています。具体例として挙げられているのが、次のような芸当です。

  • Webアプリのスクリーンショットを見せるだけで、その元になっているソースコードを再現できる
  • ゲーム画面だけを頼りに、地図や案内なしでポケモン(ファイアレッド)を最初から最後までクリアできる

特に後者は象徴的です。以前のClaudeは、補助ツールを与えてもポケモンをプレイするのに苦労していましたが、Fable 5は画面を見るだけの最小限の仕組みでクリアまでたどり着きました。「画面を見て、状況を理解し、次の一手を判断する」という、人間にとっては当たり前の連続動作を、安定してこなせるようになったということです。

デザインの仕事にあてはめれば、「気に入ったサイトのスクリーンショットを見せて、似た構造のものを作って」という依頼が、現実的になってきたと言えます。

観点4:安全のために、あえて力をセーブする仕組み

最後は、Fable 5を語るうえで欠かせない「セーフガード(安全装置)」です。

先ほど触れたように、Fable 5は危険な使われ方を防ぐため、特定のテーマの質問にはわざと一段下のモデルに答えさせるという設計になっています。具体的には、次の3つの領域が対象です。

領域何のため
サイバーセキュリティサイバー攻撃の支援に悪用されないため
生物学・化学生物兵器などの危険な研究に悪用されないため
蒸留(じょうりゅう)モデルの能力を不正に複製されないため

「蒸留」という言葉は耳慣れないかもしれませんが、これは「あるAIの能力を盗み取って、別の安全装置のないAIを作ってしまう」ような行為を指します。

そして、こうした領域の質問を受け取ると、Fable 5は自動的に一段下の Opus 4.8 に応答を引き継ぎます。この肩代わりが起きると利用者には通知され、Opus 4.8自体も十分に高性能なため、Fableからの全面的な拒否よりもはるかに良い体験になる、とAnthropicは説明しています。

気になるのは「普通に使っていても、しょっちゅう肩代わりが起きるのでは?」という点ですが、Anthropicによれば、95%以上のセッションでは肩代わりがまったく発生せず、その場合のFable 5の性能は、制限のないMythos 5と実質的に同じだとされています。言い換えれば、日常的な開発や調べ物では、フルパワーのFable 5をそのまま使える、ということです。

「肩代わり」は実際どう見えるのか

少しイメージしづらい部分なので、具体的に補足します。たとえば、あなたがFable 5に対して、たまたまサイバーセキュリティに関わる質問(それ自体は悪意のない、学習目的のものだったとしても)を投げたとします。

このとき、Fable 5の手前で待ち構えている「分類器(classifier)」と呼ばれる別のAIが、その質問を「要注意な領域」と判定します。すると、Fable 5本体は答えず、代わりに一段下のOpus 4.8がその質問に答えます。そして「この応答はOpus 4.8が担当しました」という趣旨の通知が、あなたに表示されます。

この分類器は、Anthropicがこれまで使ってきた仕組みを拡張したもので、サイバーセキュリティ、生物学・化学、蒸留の各領域をカバーするよう作られています。攻撃者による「制限を回避しようとする試み(ジェイルブレイク)」にも耐えるよう、外部の専門家による1000時間以上のテストも行われ、その範囲では万能の回避手段は見つからなかったと報告されています。

利用者の視点で言えば、「答えてもらえなかった」のではなく「別の優秀なモデルが代わりに答えてくれた」という体験になる、というのがポイントです。Opus 4.8もそれ自体が非常に高性能なため、全面的な拒否に比べればはるかに良い体験になる、というのがAnthropicの考え方です。

ただし正直に補足しておくと、この安全装置は安全を優先して慎重に調整されているため、ときには無害な依頼まで引っかかってしまうことがある、ともAnthropic自身が認めています。今後の改善で、こうした「過剰反応」は減らしていく方針とのことです。

数字で見るFable 5 — ベンチマーク比較

ここまで言葉で説明してきましたが、客観的な指標も見ておきましょう。AIの性能を測る「ベンチマーク」という試験のスコアです。代表的なものを表にまとめました。

ベンチマーク測るものFable 5 / Mythos 5Opus 4.8GPT-5.5Gemini 3.1 Pro
SWE-Bench Pro実際のソフト開発課題80.3%69.2%58.6%54.2%
Terminal-Bench 2.1端末操作を伴う作業88.0%82.7%83.4%70.7%
FrontierCode Diamond高難度のコーディング29.3%13.4%5.7%

数字の出典は独立した第三者によるテスト結果です。実際のGitHubリポジトリの課題を助けなしで解くSWE-Bench Proでは、Fable 5が80.3%を記録し、Opus 4.8の69.2%を大きく上回りました。

特に注目したいのが、3つ目の「FrontierCode Diamond」です。これは本番品質のコードが書けるかを問う厳しい試験で、Fable 5が29.3%だったのに対し、Opus 4.8は13.4%、GPT-5.5はわずか5.7%でした。難しい課題ほど差が開く、という先ほどの話が、数字の上でもはっきり表れています。

知識労働の面でも、Hebbiaの金融ベンチマークでは、文書からの読み取りや図表の解釈で大きく伸び、あらゆるモデルの中で最高スコアを出したと報告されています。

ひとつ注意したいのは、これらの数字の扱いです。Anthropicは公式発表で使った評価項目こそ挙げているものの、モデルページに生のスコアそのものは掲載しておらず、上記の数値はいずれも第三者テストによるものだとされています。そのため、現時点では「早期の、おおまかな目安」として受け止めておくのがよいでしょう。

料金と使える期間

性能の話に続いて、「お金」と「期間」の話をしておきます。ここは利用を検討するうえで非常に重要です。

まず料金です。Fable 5とMythos 5はいずれも、入力100万トークンあたり10ドル、出力100万トークンあたり50ドルで提供されます。「トークン」とは、AIが文章を処理する際の単位で、おおざっぱに言えば文字数のようなものです。この価格はOpus 4.8の約2倍にあたります。高性能な分、コストも上がる、という関係です。

そして、見落としやすいのが「いつまで使えるか」という点です。需要が読めないため、Anthropicは段階的な提供方法をとっています。

  1. 本日(6月9日)から6月22日までは、Pro・Max・Team・座席型Enterpriseの各プランで追加料金なしで利用できます。
  2. 6月23日になると、これらのプランからFable 5は外され、それ以降の利用には使用クレジットが必要になります。
  3. 十分な処理能力が確保でき次第、Fable 5を通常のサブスクリプションの一部として復活させることを目指す、とされています。

APIや従量課金型のEnterpriseプランでは、本日から完全に利用可能です。開発者がAPIで使う場合のモデル名は claude-fable-5 です。

つまり、サブスクリプションで「今は無料で使える」状態は期間限定であり、6月23日を境に扱いが変わる、という点は押さえておきましょう。

実践:Fable 5に「ゼロからアプリ」を作らせてみた

ここまで「一発でアプリが作れるようになった」と繰り返してきましたが、言葉だけでは半信半疑かもしれません。そこで、実際にFable 5に対してひとつのWebアプリをゼロから作らせ、その出来栄えを検証します。

お題の設定

今回与えたお題は、次のようなものです。

日本の四季をテーマにした、おしゃれな集中タイマー兼・習慣トラッカーのWebアプリを作ってほしい。25分集中・5分休憩のポモドーロ方式で、背景には季節ごとの花びらや雪がふわふわ舞い、季節を切り替えると配色も俳句も変わる。完了したセッション数や連続記録も記録できること。

ポイントは、これが単なる「タイマー」ではないことです。次のような複数の要素を、ひとつのアプリにまとめる必要があります。

  • 時間をカウントするタイマー機能
  • 残り時間を円で表すプログレスリング
  • 季節ごとに姿を変えるパーティクル(花びらや雪)のアニメーション
  • 完了回数や連続記録を残す記録機能
  • 季節を切り替える配色と俳句の連動

これらは個々に見ればそれほど珍しくありませんが、「全部を破綻なく、かつ美しくまとめる」となると、デザインのセンスとコードの整合性の両方が問われます。まさに「一発生成の実力」を測るのにうってつけのお題です。

できあがったアプリ

そして実際にFable 5が一発で生成したのが、次のアプリ「四季(SHIKI)」です。まずは秋(紅葉)の画面をご覧ください。

いかがでしょうか。中央には紅葉色の円形タイマーがあり、その周囲を紅葉の葉がゆっくりと舞い落ちています。右側には「完了したセッション」「積み上げた時間」「連続記録」を並べた記録パネル、画面下には季節に合わせた俳句が添えられています。明朝体のフォント選びや、落ち着いた配色も含めて、全体に統一感のある仕上がりです。

これが「ここを直して」を一度も挟まず、最初の生成だけで出てきた、という点が驚くべきところです。

季節を切り替えると、世界が変わる

このアプリの面白いところは、画面右上のボタンで季節を切り替えられる点です。春に切り替えると、配色は桜色になり、背景には5枚の花弁を持つ桜の花びらが舞い始めます。

俳句も「ひらひらと 風にあづける 花のいろ」という春のものに差し替わっています。配色・パーティクルの形・俳句の3つが、季節ボタンひとつで連動して変わる仕組みが、きちんと実装されています。

冬に切り替えれば、青みがかった配色に変わり、雪が静かに降り積もります。下の画面は、実際にタイマーを動かしている最中のものです。

よく見ると、タイマーが「24:58」とカウントダウンを始め、円形のプログレスリングがほんの少しだけ進んでいます。ボタンの表示も「はじめる」から「一時停止」に変わっています。タイマーとしての基本動作も、問題なく機能しています。

「実際にどう作られたのか」コードの一部を覗いてみる

非エンジニアの方は読み飛ばしていただいても構いませんが、せっかくなので、Fable 5が書いたコードの一部を紹介します。たとえば、背景の花びらや雪を描くアニメーションは、次のように「ひとつぶの粒子」を定義するところから始まっています。

// 花びら・雪・雫など、1つぶの粒子を生成する
function makeParticle() {
  return {
    x: Math.random() * W,              // 横位置はランダム
    y: Math.random() * -H,             // 最初は画面の上の方に配置
    size: 6 + Math.random() * 12,      // 大きさにばらつきを持たせる
    speed: 0.4 + Math.random() * 1.1,  // 落ちる速さもばらつかせる
    sway: Math.random() * Math.PI * 2, // 左右に揺れる位相
    rot: Math.random() * Math.PI * 2,  // 回転の向き
    opacity: 0.35 + Math.random() * 0.45 // 透明度もばらつかせる
  };
}

注目したいのは、大きさ・速さ・揺れ・回転・透明度のすべてに「ばらつき」を持たせている点です。これによって、機械的に整列した不自然な動きではなく、本物の花びらのような自然な舞い方が生まれています。こうした「言われなくても気を利かせる」部分に、モデルの成熟が表れていると感じます。

季節を切り替える処理も、配色・俳句・パーティクルの形を一括で差し替えるよう、すっきりとまとめられていました。

// 季節ごとの設定をまとめて定義
const SEASONS = {
  spring: { accent: "#e89bb0", shape: "sakura",
            haiku: ["ひらひらと", "風にあづける", "花のいろ"] },
  autumn: { accent: "#d98555", shape: "momiji",
            haiku: ["手のひらに", "落つる紅葉の", "かろきこと"] }
  // 夏・冬も同様に定義
};

このように「季節ごとの設定を一か所に集める」書き方は、後から季節を追加したり調整したりしやすい、見通しのよい設計です。単に動くだけでなく、「手入れしやすい形」で書かれているのは、地味ですが重要なポイントです。

デモ動画

実際にタイマーが動き、季節が移り変わる様子は、静止画よりも動画のほうが伝わります。下に操作の様子を収めたデモ動画を用意しましたので、ぜひご覧ください。

検証してみての所感

第一に、指示の「行間」を読む力です。「おしゃれな」というあいまいな注文に対して、明朝体のフォント、落ち着いた配色、余白の取り方まで含めて、ひとつの世界観としてまとめてきました。第二に、機能の取りこぼしがない点です。タイマー・記録・アニメーション・季節連動という複数の要求を、ひとつも落とさず実装していました。第三に、動作が破綻していない点です。生成したコードはそのまま動き、季節を何度切り替えても、タイマーを止めたり再開したりしても、おかしな挙動は起きませんでした。

もちろん、これはあくまで「比較的小規模なアプリ」での話です。業務システムのような大規模で複雑なものになれば、人間によるレビューや調整は依然として欠かせません。それでも、「アイデアを最初の形にする」という工程に関して言えば、Fable 5は実用的な水準に達していると感じました。

どんな人が、どう使うとよいか

ここまでの内容を踏まえて、Fable 5が向いている使い方を整理しておきます。

こんな場面Fable 5の活かし方
アイデアを素早く形にしたいアプリやツールの試作(プロトタイプ)を一発生成させる
長く複雑な作業を任せたい大規模なコード移行や、長時間の調査・分析を委ねる
画面や図から作りたいスクリーンショットや図を見せて、似たものを再現させる
じっくり調べ物をしたい文書や図表の読み取りを伴う、込み入った分析を依頼する

一方で、次のような場合は、必ずしもFable 5を選ぶ必要はありません。

  • ちょっとした質問への一問一答(Opus 4.8やSonnetで十分な場面が多い)
  • コストを強く抑えたい定型作業(料金が約2倍である点を考慮)

要するに、「長くて複雑で、価値の高い仕事」ほど、Fable 5の真価が発揮される、ということです。短い作業に高価なモデルを使うのは、軽トラックで十分な荷物に大型トラックを呼ぶようなものかもしれません。

自分で試すには — 最初の一歩

「自分でも試してみたい」という方のために、始め方を簡単に整理しておきます。難しい準備は必要ありません。

  1. Claudeのチャット画面(claude.ai またはアプリ)を開きます。
  2. 画面上のモデル選択メニューから「Claude Fable 5」を選びます。期間中であれば、Pro・Max・Team・Enterpriseの各プランで追加料金なしに選択できます。
  3. あとは、いつものように作りたいものを言葉で伝えるだけです。

最初の一歩としておすすめなのは、本記事でやったように「小さなWebアプリやツールをFable 5に作らせてみる」ことです。例えば、

  • 「家計の支出を入力すると、円グラフで内訳を見せてくれる簡単なアプリを作って」
  • 「英単語のクイズアプリを作って。10問出して、最後に正答率を表示してほしい」
  • 「気に入ったサイトのスクリーンショットを見せるので、似た雰囲気のページを作って」

うまく作らせるコツは、最初から細かく指示しすぎないことです。Fable 5は「行間を読む力」が高いので、まずは「何を・誰のために・どんな雰囲気で」という大枠だけ伝え、出てきたものを見てから調整を頼む、という進め方が良いかと思います。

開発者の方であれば、APIから claude-fable-5 というモデル名で呼び出すこともできます。コードに組み込んで、長時間の自律的な作業を任せたい、といった用途には、こちらが向いています。

つまずきやすいポイントと対処法

実際に使い始めると、戸惑う場面もあるかもしれません。よくある疑問と、その対処法を表にまとめました。

困りごと考えられる原因対処法
モデル一覧にFable 5が出てこない提供期間を過ぎている、またはプラン対象外提供状況を公式の最新情報で確認する。期間後は使用クレジットが必要
「Opus 4.8が応答しました」と表示されたセーフガードが作動し、肩代わりが起きた質問の表現を変える。要注意領域に触れていないか見直す
思ったより応答が遅い・混み合っている需要が非常に高く、処理能力が逼迫している時間をおいて試す。急ぎでなければOpus 4.8等も検討する
費用が想像より高くなった料金がOpus 4.8の約2倍である短い作業は下位モデルに振り分け、Fableは重い作業に絞る
一発生成の品質が物足りないお題が大規模・複雑すぎる機能を分割し、部品ごとに作らせてから組み合わせる

特に2行目の「肩代わり」については、悪いことをしているわけではなく、安全装置が慎重に働いているだけ、というケースがほとんどです。表現を少し変えるだけで通ることも多いので、慌てずに試してみてください。

まとめ

最後に、本記事の要点を振り返ります。

  • Fable 5は、従来のOpusクラスより一段上の「Mythosクラス」に位置づけられた新モデル。
  • 中身はMythosクラスでありながらOpus 4.8への肩代わりという安全装置を備え、一般公開できる形に調整されている。
  • 大きな変化は「長く複雑な作業ほど差が開く」「一発でアプリを作る力」「画面を見て理解する力」の3点で、ベンチマークの数字もそれを裏づけている。
  • 実際にアプリを作らせたところ、複数の機能を破綻なくまとめ、デザインの世界観まで含めて一発で仕上げてきた。
  • 料金はOpus 4.8の約2倍で、サブスクリプションでの無料提供は当面6月22日までという期間限定の点に注意が必要。

今回いちばん強く感じたのは、AIに「相棒として任せられる範囲」が、また一段広がったということです。これまでは「指示を細かく出して、何度も直してもらう道具」という側面が強かったものが、「ざっくり方向性を伝えれば、最初の形まで持っていってくれる存在」へと近づいてきました。

もちろん、最後の仕上げや、本当に重要な判断は、まだまだ人間の仕事です。けれども、その手前の「とにかく一度、形にしてみる」という工程が速くなったことの意味は、決して小さくありません。アイデアを温めているけれど形にする時間がなかった、という方にとっては、試してみる価値のあるタイミングだと思います。

無料で使える期間のうちに、ぜひご自身の手で、その実力を確かめてみてください。

参考リソース

  • Anthropic公式発表「Claude Fable 5 and Claude Mythos 5」: https://www.anthropic.com/news/claude-fable-5-mythos-5
  • Claude Fable 製品ページ: https://www.anthropic.com/claude/fable
  • Claude API モデル一覧(モデル名 claude-fable-5): https://platform.claude.com/docs/en/about-claude/models/overview
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