OpenAI DevDay 2026 で何が発表された? dots・GPT-6.1 Sol・Ultrafast・Codex クラウドは従来と何が変わるのか

AI入門
OpenAI DevDay 2026 発表まとめ

はじめに

2026 年 9 月 29 日(現地時間)、サンフランシスコの Fort Mason で OpenAI DevDay 2026 が開かれました。基調講演は約 53 分。OpenAI 自身が「20 を超える重要な発表」と書くとおり、内容は ChatGPT の新しい形から、モデル、API、開発者向けの配布の仕組みまで多岐にわたります。

一度に 20 個以上の発表を聞くと、「結局どれが自分に関係があるのか」「これまでとどこが変わるのか」が分かりにくくなります。この記事では、基調講演の書き起こしと OpenAI の公式ページを突き合わせ、発表を抜け漏れなく一覧にしたうえで、それぞれが「従来と何が変わるのか」を整理します。

想定読者は、ChatGPT や Codex を仕事で使っている人、OpenAI の API でアプリを作っている人、そして「AI エージェント」という言葉は聞くけれど実際に何が変わるのか腑に落ちていない人です。

この記事の確認範囲

  • 基調講演の内容は、YouTube 公開の書き起こし(自動生成のため、固有名詞の表記ゆれがあります)をもとにしています。
  • 数値・プラン・提供状況は、2026 年 9 月 30 日に OpenAI の公式ページ(振り返りページ、各製品の紹介ページ、開発者ドキュメント、ヘルプセンター)を筆者が開いて確認したものです。本文中の公式ページの画像は、その日に撮影したものです。
  • 講演で語られたものの公式ページに記載が見当たらない話(研究インターン、デモの細部など)は、「講演での説明」と明記して区別しています。
  • 筆者はこの記事のために新しい製品を実際に動かしてはいません。動作や速度の体感は含まれていません。

まず、今回の発表を 4 つの柱に分けた全体地図をご覧ください。列は講演の流れに沿っています。

DevDay 2026 の発表を「自ら動く AI」「モデルと速度」「開発の土台」「配布と商売」の 4 列に分けた図。列ごとに主な発表が並び、太字が記事で詳しく扱うもの

図1:発表を 4 つの柱に整理したもの。以降の章もこの順番で進みます(静止画版)

公式の振り返りページも、ほぼ同じ 4 つの見出しで構成されています。

OpenAI 公式「DevDay 2026 の振り返り」ページの先頭。黒い背景に色つきの丸い顔が並び、中央に見出しがある

公式の振り返りページ(openai.com)。丸い顔は dots のキャラクター(2026-09-30 撮影)

発表の全一覧:何が新しく、何が変わるのか

先に全体を表にします。「従来との違い」の列は、公式の説明と講演の内容をもとに筆者がまとめた見方です。

#発表ひとことで言うと従来との違い対象・提供状況(公式)
1dots24 時間働く常時稼働のエージェント会話のたびに指示する AI から、目標と権限を渡して任せる「担当者」へPro・Business Premium で順次、Enterprise は管理者が有効化するとベータ。最初の 1 体は追加料金なし
2専門 dots(Specialist dots)会社が用意する役割つきの dot個人の分身ではなく、経理・法務など組織の業務を担う企業向け限定プレビュー。Microsoft Agent 365 と統合予定
3ChatGPT Space人・ChatGPT・Codex・dot が同じ場所で働く拠点「Library」が Space に置き換わり、共同編集の場になるPro・Business・Enterprise。Web とデスクトップで作成・編集、モバイルは閲覧
4Living Pages接続ツールから自動更新される文書書いたら終わりの文書から、勝手に最新になる文書へPro・Business・Enterprise
5スライドの共同編集ChatGPT と一緒に作るプレゼンエディター会話→スライド、同時編集、PowerPoint / Google スライドへ書き出しPro・Business・Enterprise。Space のページでは「近日」
6チームの作成とタスクの共有週次報告などをチームで ChatGPT に任せる定期実行や Slack・メールの新着をきっかけに動くBusiness・Enterprise
7@ChatGPT(Slack・Teams)チャンネルでメンションして依頼ChatGPT を開かずに、会話の中で仕事を頼めるBusiness・Enterprise
8Meetings プラグイン会議を録音してメモを Space へ決定事項や次のステップを、これまでの文脈つきで整理Pro・Business のベータ(macOS デスクトップ)
9共有可能なプロフィール自分の Sites やプラグインをまとめて公開作ったものを一か所から共有できるEnterprise・Edu・Healthcare は近日、それ以外は利用可
10GPT-6.1 SolAstra に迫る性能を 1/5 の価格でGPT-6 Sol の置き換え。キャッシュ入力が 95% 引きAPI、Plus 以上の ChatGPT Work と Codex
11Ultrafast最速の速度ティアFast(2 倍)の上に、Codex で最大 8 倍・API で最大 6 倍の速さAPI は全ユーザー、ChatGPT Work・Codex は Pro 500 と対象 Enterprise
12Decisions API決められた選択肢から一瞬で選ぶ API文章を生成せず「分類・振り分け・次の行動の選択」に特化限定プレビュー(数日内に広く公開予定)
13Pro 500 / Pro 200 再開月額 500 ドルの最上位プラン最大の利用枠と Ultrafast つき。Pro 200 の新規受付も再開個人向け
14Codex クラウドクラウド環境でタスクを実行ノート PC を閉じても止まらず、スマホからも続けられる全プラン
15Codex CLI 刷新音声入力、/agents、worktreeターミナルで話しかけ、複数エージェントの進捗を一覧全プラン
16コードレビューChatGPT デスクトップで差分を確認不在中もクラウドで初回レビュー。GitHub と GitLab に対応全プラン
17Codex Security Cloud脆弱性を継続的に見つけて修正案を出す自動の重複排除・スケジュール実行・新コミットの監視全 Codex ユーザー(プラグイン)
18Agents API のコンピューター操作Codex と同じハーネスをマネージドで9/10 公開の Agents API に、OpenAI ホストのブラウザー操作が追加API(パブリックベータ)、Pro 500 と対象 Enterprise は Codex でも
19Amazon Bedrock Managed AgentsAgents API を AWS 側の環境で自社の AWS リソースと一緒にエージェントを運用AWS 経由
20Private Intelligence本文を OpenAI に残さず安全審査だけ行うZDR に Private Safety Processing と Private Inference を追加ZDR 承認済み組織、Private Inference はプレビュー
21Sign in with ChatGPTChatGPT アカウントで外部アプリにログイン利用者のプランの枠(トークン)をあなたのアプリに持ち込める全世界の認証済みユーザー、初期パートナー 6 社から
22プラグイン拡張機能ChatGPT の中にアプリ全体を組み込むサイドバー・パネル・ファイルビューアーなど 9 種の入口全プラン(Free・Go の Web は近日)
23Plugin Creator・申請改善・発見プラグインを作る・通す・見つけてもらう会話の流れで必要なプラグインが提案される全プラン
24Sites とプラグインの連携作った Site に接続データを組み込むチームの各自が自分の権限でログインして使えるBusiness・Enterprise・Healthcare・Education
25MCP Eventsアプリ側の出来事で自動処理を開始「監視して、来たら動く」がプラグインで書ける全プラン(提案中の仕様)
26OpenAI MarketplaceOpenAI との契約額で他社製品を購入企業は既存のコミットメントの一部を 32 社の製品に充てられる対象企業とパートナー向けベータ

このほか、講演では「AI 研究インターン」の進捗、Responses API の信頼性の数字、ロボットのデモなども語られました。これらは記事の後半で「講演で語られたこと」としてまとめます。

第 1 の柱:自ら動く AI ── dots と ChatGPT Space

dots:チャットの相手から「担当者」へ

基調講演の最初の 20 分はほぼ dots に使われました。Sam Altman 氏は「私たちがずっと欲しかった、映画に出てくるような AI の助手」と紹介し、舞台では自分の dot に「Alfred」と名前を付けるデモが流れました。

dots が従来の ChatGPT とどう違うのかを、動きの流れで比べます。

左に従来のチャット型 AI(人が頼む→AI が答える→人が次を頼む)、右に dots(担当範囲と権限を決める→dot がクラウド PC で 24 時間進める→承認が要るときだけ連絡)の流れを並べた図

図2:一番の違いは「会話を閉じても仕事が続くか」と「次の指示を人が出すか」(静止画版)

これまでの ChatGPT は、こちらが問いを投げ、答えが返り、また次の問いを投げる往復が基本でした。dots では、「バグ報告を監視して、修正の PR まで用意して」のような担当範囲と、「どこまで自分で決めてよいか」の権限を渡します。あとは dot が専用のクラウドコンピューターで進め、承認が必要なときだけ連絡してきます。

公式ページによると、dot は「新入社員に用意するものとほぼ同じ環境」で仕事を始めます。具体的には次の持ち物です。

  • アクセス権のための専用の ID
  • クラウド上のコンピューターと専用ブラウザー(必要ならコードを書いてテストもする)
  • プラグイン経由で4,000 以上のアプリへの接続(使えるアプリは自分で選ぶ)
  • ChatGPT・テキストメッセージ・Slack・Teams・音声通話のどこからでも同じ文脈で会話
OpenAI 公式「dots のご紹介」ページの先頭。白い背景にグレーの丸、見出しと「自分の dot を作成」ボタン

公式の dots 紹介ページ。「記事を音声で聴く」で 11 分 25 秒の分量がある(2026-09-30 撮影)

「勝手に何でもやってしまうのでは」という不安に対して、公式ページはかなりの分量を安全装置の説明に割いています。図にまとめると次のようになります。

中央に「あなたの dot」、周りに持ち物(専用 ID と PC、接続したアプリ、連絡経路)と安全装置(読み取り専用の裏方調査、自動レビューの 3 分類)を配置した図

図3:dot の「持ち物」と「止まる仕組み」。自動レビューが操作を 3 つに分けるのが要点(静止画版)

とくに押さえておきたいのは次の 3 点です。

  1. 裏方の調査は読み取り専用:dot はあなたと話していない間も「プロアクティブリサーチ」として接続アプリを見て回りますが、このときはメッセージ送信・内容の変更・ブラウザーや PC の操作ができません。
  2. 自動レビューで操作を 3 分類:アカウントに影響したり情報を共有したりする操作は、「そのまま進める」「承認を求める」「本人が行う」に分けられます。パスワード変更のような操作は必ず本人が行います。
  3. カスタムルール:特定の操作を許可・承認必須・ブロックに設定できます。監視システムが懸念を検出すると、作業を一時停止・中止できます。

料金面では、最初の 1 体は Pro または Business Premium に含まれ、dot との会話は ChatGPT の利用上限に数えられません。ただし dot に Codex や ChatGPT Work のタスクを頼むと、そのタスクは通常どおり上限に数えられます。提供開始から最初の 1 か月は上限が広げられます。

講演では「Pro ユーザーは iMessage / RCS のテキストメッセージに近日対応」と述べられ、公式ページでは限定の待機リストとして案内されています。

専門 dots:会社が用意する「役割つき」の dot

企業向けには、経理・マーケティング・法務などの業務を担う専門 dots(Specialist dots)のプレビューも発表されました。個人の dot が「あなたの分身」なのに対し、専門 dot は組織の中で固有の ID と認証情報を持ち、チームからのフィードバックで改善していきます。OpenAI 社内では調達・請求書処理・メールマーケティング・カスタマーサポート・契約業務で試しているとのことです。Microsoft の Agent 365 と統合し、企業が使い慣れた管理ツールで dots を扱えるようにする計画も語られました。

ChatGPT Space と Living Pages:AI と人が同じページで働く

dots が「個人の担当者」だとすると、Space は「チームと dots が集まる作業場」です。講演では、既存の生産性ソフトが「AI と人が一緒に働く」ことを前提に作られていない、という問題意識から説明されました。

中央に「Q4 イベント計画」というページ、その左右にチームの人・ChatGPT・Codex・dot・接続したツールが矢印でつながる図

図4:ページを囲む登場人物。人も AI も同じページを直接編集し、コメントで呼び合う(静止画版)

Space の中心は Living Page と呼ばれる文書です。公式の説明を要約すると、次の点がこれまでの文書ツールと違います。

  • ChatGPT でできることはすべてページ上でできる(グラフ、ダッシュボード、画像の生成、表での整理)
  • チームを招待して同時に編集し、コメントで @ChatGPT や @dot をタグ付けして修正や次のステップを頼める
  • ページに「何を・どのソースで・どの頻度で更新するか」を指示すると、接続したツールの情報で自動更新される(例:Slack・メール・カレンダーから拾った ToDo リストが勝手に最新になる)
ChatGPT Space の公式紹介ページ。「People and AI working together」の見出しと、宇宙を背景にページやグラフが浮かぶ画像

chatgpt.com の Space 紹介ページ。Pro・Business・Enterprise 向けで、スライドと表計算の共同編集は「近日」と書かれている(2026-09-30 撮影)

デモでは、製品担当の Holly 氏が「Blossom Music」という架空の音楽アプリのローンチ準備を例に、朝のうちに dot が拾ったこと(レビュー会議の前倒し、テストユーザーの反応、デザインの土壇場の変更)を確認し、スラッシュコマンドでページにグラフを差し込み、FAQ の追加を dot に音声で頼む流れを見せました。Slack に来た依頼をそのまま dot に転送して任せる場面もあり、「OpenAI 社内では dots を代理人のようにグループチャットに最初から入れるようになった」と語られました。

Space の周辺には、次の発表もまとめられています。

発表何ができるか対象
スライドの共同編集会話をスライドに変換、同時編集、ChatGPT から直接発表、PowerPoint / Google スライドへ書き出しPro・Business・Enterprise
チームの作成とタスクの共有週次の進捗報告などを定期実行や新着メッセージをきっかけに動かすBusiness・Enterprise
@ChatGPT(Slack・Teams)チャンネルやスレッドでメンションし、議論の要約・バグ調査・顧客向け更新の投稿を頼む。ライセンスのないメンバーも同じ会話で参加できるBusiness・Enterprise
Meetings プラグイン会議を録音してメモを Space に保存し、決定事項と次のステップを整理Pro・Business のベータ
共有可能なプロフィール作った Sites・プラグイン・スキルを一か所から共有多くのプランで利用可

気づき:dots・Space・チームタスクは、どれも「ChatGPT を開いて質問する」形から離れています。ChatGPT の画面に来てもらうのではなく、Slack・メール・ページのほうへ AI が出向く設計です。使い方を考えるときも、「どの画面で使うか」より「どの仕事を任せるか」から考えたほうが噛み合います。

第 2 の柱:モデルと速度 ── GPT-6.1 Sol、Ultrafast、Decisions API

GPT-6.1 Sol:Astra に迫る性能を 5 分の 1 の価格で

講演では「Astra を安く、速くしてほしい」という要望に応える形で 2 つの発表がありました。1 つ目が GPT-6.1 Sol です。

GPT-6 Astra・GPT-6.1 Sol・GPT-6 Luna の 3 枚のカードに、役割と API 料金を書いた図。中央の GPT-6.1 Sol が強調され、下に GPT-6 Sol からの変更点の注記

図5:GPT-6 世代の並び。GPT-6.1 Sol は GPT-6 Sol と同じ標準料金で、キャッシュ入力だけ半額になった(静止画版)

公式ページの数字を整理すると次のとおりです(100 万トークンあたり、入力 27.2 万トークン以下の場合)。

モデル入力キャッシュ済み入力出力位置づけ
GPT-6 Astra$10.00$1.00$50.00最上位。総合力は引き続き最高
GPT-6.1 Sol$2.00$0.10$10.00Astra に迫る性能を 1/5 の価格で
GPT-6 Sol(9/22 公開)$2.00$0.20$10.00GPT-6.1 Sol への置き換えが案内されている
GPT-6 Luna$0.10$0.01$0.50大量・定型の処理向け

「Astra の 5 分の 1」という表現は標準の入出力料金の比較で、キャッシュ済み入力に限れば 10 分の 1 です。講演で「キャッシュ入力は標準入力の 95% 引き」と強調されたのは、同じ文脈を何度も読み直すエージェント用途で効くからです。コードベース全体を読み込んでから何十回もツールを呼ぶような処理では、入力の大半がキャッシュ済みになります。

公式の GPT-6.1 Sol 紹介ページにある 3 枚のモデルカード。Astra は渦巻き銀河、Sol は太陽、Luna は月の絵と料金

公式ページのモデルカード。Astra「最良の結果のための最も知能の高いモデル」、Sol「Astra に迫る知能を 5 分の 1 の価格で」、Luna「大規模な日常業務を速く効率よく」(2026-09-30 撮影)

性能面で公式ページが挙げている評価は次のとおりです。すべて OpenAI 自身の測定で、競合モデルの値は公開レポートからの引用と注記されています。

評価GPT-6.1 Sol の結果(公式の記述)
DeepSWE v1.1(実コードベースの開発タスク)約 1/5 のコストで GPT-6 Astra と同等。GPT-6 Sol の最高スコアを 6.4 ポイント上回る
GDP.pdf(複雑な PDF を読む専門業務)Opus 5.5(フォールバックあり)より高いスコアを半分未満のコストで。Astra に迫る性能を約 1/5 のコストで
AutomationBench 1.0.6(47 のツールで業務ワークフローを完遂)思考量「中」で Opus 5.5 を 2.2 ポイント上回り、コストは約 1/3
OSWorld 2.0 オフラインセット(コンピューター操作)思考量最大で GPT-6 Sol を 7 ポイント上回り、Astra との差は 2.1 ポイント。コストは Astra の約 1/7
Terminal-Bench Science 0.1(科学研究のワークフロー)GPT-6 Sol の 2 倍超のスコア。タスクあたりの平均コストは GPT-6.1 Sol $5.47、Opus 5.5 $23.21、Astra $23.80
難しいプロンプトでの事実誤認率(思考量「超高」)GPT-6 Sol 4.5% → 4.1%(Astra は 4.0%)

一方で、公式ページは「総合的な能力では引き続き GPT-6 Astra が最高のフロンティアモデル」とも書いています。Terminal-Bench Science の最高スコアは Astra の 68.1% で、最も難しい科学研究タスクには Astra を推奨しています。日常の主力を GPT-6.1 Sol に、難問だけ Astra に、という使い分けが公式の勧め方です。

公式ページの「料金と提供状況」の段落。GPT-6.1 Sol の提供プランと API 料金、Ultrafast の説明が書かれている

公式ページの「料金と提供状況」。ChatGPT では Plus 以上の ChatGPT Work と Codex で使え、通常の Chat ではまだ使えない(2026-09-30 撮影)

気づき:モデル一覧のページでは、GPT-6 Sol がすでに主要モデルの一覧から外れ、詳細ページで GPT-6.1 Sol を案内しています。公開から 1 週間での置き換えです。API で gpt-6-sol を固定していた人は、評価をやり直したうえで gpt-6.1-sol へ切り替える計画を立てたほうがよさそうです。

Ultrafast:8 倍の速さは何に効くのか

2 つ目が Ultrafast です。講演では「Fast はすでに 2 倍の速度を 2 倍の価格で提供している。Ultrafast は 8 倍の速度を 6 倍の価格で提供する。毎秒 300 トークン」と説明され、同じ「DevDay の色でロケットを作って打ち上げる」というお題を Ultrafast と通常で並べて実行するデモが流れました。

Standard・Fast・Ultrafast の 3 段に、速度の倍率(青)と料金の倍率(橙)を横棒で示した図。下に service_tier の指定方法の注記

図6:速度と料金は比例しない。Ultrafast は速さ 8 倍(Codex)に対して料金 6 倍(静止画版)

公式ドキュメントで確認できた数字を整理します。

ティア速度(公式の説明)API 料金(GPT-6 Astra、入力/出力)ChatGPT 側の消費
Standard1 倍$10 / $501 倍
Fast(旧 Priority processing)2 倍$20 / $100込み枠は 2.5 倍、クレジットは 2 倍
UltrafastCodex で最大 8 倍、API で最大 6 倍$60 / $300込み枠は 8 倍、クレジットは 6 倍

API では service_tier に ultrafast を指定するだけです。Responses API での最小の例を示します(筆者は未実行です。公式ガイドの記述に沿っています)。

# GPT-6 Astra を Ultrafast で呼ぶ(HTTP の場合)
curl https://api.openai.com/v1/responses \
  -H "Authorization: Bearer $OPENAI_API_KEY" \
  -H "Content-Type: application/json" \
  -d '{
    "model": "gpt-6-astra",
    "service_tier": "ultrafast",
    "input": "空が青い理由を一文で説明して"
  }'

公式ガイドは、ツール呼び出しを連続して行うエージェント用途では WebSocket 接続を強く推奨しています。生成が速くなっても、1 回ごとの接続の往復に時間がかかると、せっかくの速さが相殺されるからです。

OpenAI 開発者ドキュメントの Ultrafast mode ページ。左にナビゲーション、中央に説明文と Python の WebSocket サンプル

開発者ドキュメントの Ultrafast mode。「GPT-6 Astra で広く提供、GPT-5.6 Sol はプレビュー」と書かれている(2026-09-30 撮影)

提供範囲には注意点があります。

  • API:GPT-6 Astra の Ultrafast は全ユーザーに提供されますが、レート制限は低めです(既定はティア 1〜3 で毎分 50 万トークン)。
  • ChatGPT Work・Codex:Pro 500 と対象の Enterprise・Edu のみ。Pro 100 / Pro 200 でクレジットを買っても解放されません。
  • Enterprise では既定でオフで、ワークスペースのオーナーが有効化します。米国外での推論レジデンシーが必須のワークスペースでは使えません。
  • GPT-6.1 Sol の Ultrafast は「近日」です(紹介ページでは提供開始と書かれていますが、振り返りページと Codex のドキュメントでは近日と記載されています)。

講演では「Ultrafast を使ったら戻れなくなる」と語られましたが、料金は 6 倍です。効くのは、人が画面の前で待つ対話的な作業(ライブコーディング、音声での操作)や、応答時間そのものが価値になる用途でしょう。夜間に流すバッチ処理には向きません。

Decisions API:文章を作らず「選ぶ」だけの API

3 つ目のモデル関連の発表が Decisions API です。講演では「モデルが一瞬で応答する。あらかじめ決めた選択肢の中から選ぶことに Luna モデルを集中させることで、画像理解や多言語対応、安全性の保護を保ったまま極端に速くできる」と説明され、コンピューター操作の画面が速回しではなく実速度で進む様子が示されました。

公式の振り返りページの説明はこうです。

  • 開発者が質問と有限の回答候補を定義する
  • テキストや画像でコンテキストを渡すと、候補の中から回答が返る
  • 用途はコンテンツの分類、リクエストの振り分け、エージェントの次のアクションの選択
  • 9 月 29 日から限定プレビュー、数日以内に広く公開予定

2026 年 9 月 30 日時点で、開発者ドキュメントの API リファレンス・モデル一覧・料金表には Decisions API の項目がまだありません。エンドポイントの形、料金、候補数の上限は未公開です。報道では「約 150 ミリ秒」といった数字が OpenAI 提供のグラフとして紹介されていますが、公式ページでは確認できませんでした。

気づき:これは「LLM に文章を書かせない」使い方を OpenAI 自身が製品にしたものです。エージェントの中では、「次にどのツールを呼ぶか」「この問い合わせはどの担当か」といった小さな判断が何十回も発生します。そこを軽いモデルの選択専用 API に置き換えられれば、速度も費用も下がります。同じ発想の製品(判断専用モデル)は他社にもあり、OpenAI が参入したことで「判断層」を分ける設計が一般的になりそうです。

Pro 500 の新設と Pro 200 の再開

料金プランも変わりました。ヘルプセンターの表をそのまま示します。

OpenAI ヘルプセンター「About ChatGPT Pro tiers」のプラン表。Pro 100 は $100、Pro 200 は $200、Pro 500 は $500 で Ultrafast は Pro 500 のみ Included

ヘルプセンターのプラン表。Ultrafast が含まれるのは Pro 500 だけ(2026-09-30 撮影)

プラン月額Ultrafast補足
Pro 100$100なし
Pro 200$200なし新規受付を再開。新規契約の利用枠は以前より少ない。既存契約者は 2026 年 10 月 29 日まで従来の枠
Pro 500$500あり最大の利用枠。講演では「Plus の 25 倍の利用量」と説明

Pro 500 は、後述の Sign in with ChatGPT を通じて、パートナーのアプリでもこの枠を使えます。なお Codex の速度ページには「GPT-5.5 は 2026 年 10 月 14 日に ChatGPT・ChatGPT Work・Codex から引退する(API は影響なし)」とも書かれています。古いモデルを使い続けている人は確認しておきましょう。

講演で語られた「AI 研究インターン」

モデルの章の締めくくりとして、研究担当の登壇者が「AI 研究インターン」の話をしました。以下は講演での主張で、公式ページには詳細がありません。

  • 1 年前の配信で「1 年以内に AI の研究インターンが登場する」と予告し、数週間前に達成を発表した
  • モデルにコンピューター操作のハーネスを継続的に最適化させ、遅延を 2 倍以上改善して本番に反映した
  • 社内の研究タスクのうち、1 日以上かかるものの 3 分の 1 超を、7 月時点で人の介入なしにモデルがこなした
  • 数十年未解決だった 100 以上の数学の問題の解決に寄与した

裏づけの取れる公開資料が見当たらないため、この記事では「OpenAI がそう述べた」という扱いにとどめます。

第 3 の柱:開発の土台 ── Codex クラウド、Security Cloud、Agents API、Private Intelligence

Codex クラウド:ノート PC を閉じても仕事が続く

Codex 関連で最も大きい発表は、Codex がクラウドで完全に動くようになったことです。講演では「スマホでタスクを始めて、ブラウザーやデスクトップで続きから拾える。ノート PC を閉じることを心配しなくていい」と説明され、デモでは「バックエンド全体を Rust に書き直して」という重い依頼をクラウドに投げ、その場を離れました。

公式の振り返りページの「Codex と API による新しい開発のかたち」の節。左に Codex クラウドの説明、右にスマホ画面の Codex アプリで Cloud と MacBook Pro を切り替える画像

振り返りページの Codex の節。スマホの Codex アプリに「Cloud」と「Jay’s MacBook Pro」の切り替えがある(2026-09-30 撮影)

PC の Codex、クラウド環境(公開済み)、スマホ・ブラウザーの 3 つの箱と、成果物の PR がどこからでも確認できることを矢印で示した図

図7:クラウド側に「環境」があるので、どの端末も同じタスクの続きを扱える(静止画版)

公式ドキュメントの手順は次のとおりです。

  1. ChatGPT(Web またはデスクトップ)で新しいタスクを作り、「Work in › Cloud」を選ぶ
  2. 「Select environment」から「Create environment」で環境を作る
  3. GitHub のリポジトリを選ぶと、Codex が依存関係とツールを入れ、ワークフローをテストする
  4. セットアップ結果を確認して「Publish」で環境を公開する
  5. 「Start a new task」でタスクを書いて送る。変更とテスト結果を確認し、フォローアップ・コミット・PR 作成へ進む

環境には、リポジトリ、シークレット、送信先の許可(パッケージマネージャーの既定セットや追加ドメイン)、環境変数、誰が使えるか、インストールスクリプトなどを設定します。チームで承認済みの設定と権限を共有できるので、「私の PC では動く」問題が減ります。

Codex Cloud の公式ドキュメント。「Run coding tasks in the cloud」の見出しと、環境設定画面(Repository、Secrets、Network など)の例

Codex Cloud のドキュメント。画面例には「Cloud」と「Jay’s MacBook Pro」の切り替えが見える(2026-09-30 撮影)

あわせて、Codex CLI の刷新(音声で話しかけてタスクを開始、/agents で複数エージェントの進捗を一覧、worktree の組み込み対応、ターミナル UI の整理)と、ChatGPT デスクトップのコードレビュー(GitHub の PR と GitLab の MR に対応、不在中はクラウドで初回レビュー)も発表されました。講演の CLI デモは、音声の不調で文字入力に切り替えつつ、Ultrafast で「参加者から 3 人をランダムに選ぶアプリ」を数秒で作り、その場で「6 人にして」と直す流れでした。

気づき:講演の冒頭で「Codex を Linux に、複数フォルダーの 1 プロジェクト化、スマホ対応」を要望どおり出したと振り返っていました。今回のクラウド化は、その延長で「どこで動くか」の制約を消す方向です。Claude Code など他のコーディングエージェントと比べるときも、「モデルの賢さ」より「環境をどこに置けるか」が差になり始めています。

Codex Security Cloud:見つけるだけでなく、直す案まで

セキュリティでは Codex Security Cloud が発表されました。講演では「守る側に、より良い道具を渡したい。何が来るか(攻撃側の AI 化)は見えている」と語られ、要望の多かった自動の重複排除、スケジュール実行、新しいインターフェースが追加されたと説明されました。

公式ドキュメントの流れは次のとおりです。

  1. ChatGPT のプラグインマーケットプレイスから「Codex Security Cloud」を入れて有効化する
  2. GitHub を接続し、スキャンするリポジトリへのアクセスを許可する
  3. 「New scan」でリポジトリとクラウド環境を選び、リポジトリ全体をスキャンする
  4. 「Findings」で、影響するコード・検証の証拠・修復の指針を確認する。「Fix with Codex」を選ぶと修正パッチ案が作られ、レビューしてドラフト PR を作れる
  5. 「What to scan」を「Commit changes」にすると、新しいコミットを継続的に監視する
Codex Security Cloud setup のドキュメント。プラグインの導入、GitHub 接続、スキャン開始の手順が番号つきで並ぶ

Codex Security Cloud の設定手順。スキャンは Codex クラウド上で実行され、ローカル用は別プラグイン(2026-09-30 撮影)

振り返りページには、継続的な防御の「Defense Factory」の考え方を取り入れ、「Daybreak Blue」経由のモデルも別申請なしで使えると書かれています。生成した脅威モデル(threat model)は「Project context」で編集できます。

Agents API のコンピューター操作:Codex のハーネスをそのまま借りる

Agents API 自体は 9 月 10 日にパブリックベータとして公開済みで、今回はそこにコンピューター操作が加わりました。講演では「Web サイトをテストするエージェントが、ブラウザーを開いてページをクリックし、フローを確認する」デモが示されました。

左に「自前でハーネスを組む」場合に自分が持つ部品(ループ・コンパクション・サブエージェント・サンドボックス・ブラウザー環境)、右に Agents API で OpenAI が運用する部分を並べ、アプリ固有の部分だけが残ることを示した図

図8:エージェントの「面倒な部分」を OpenAI が持ち、開発者はタスク・ツール・データに集中する(静止画版)

Agents API の考え方は「Codex を支えるのと同じハーネスとインフラを API で提供する」です。1 回の呼び出しでセッションを作ると、OpenAI 側が次を面倒見ます。

  • ツール呼び出しのループ、失敗時の復旧、中断箇所からの再開
  • コンテキストが上限に近づいたときの自動コンパクション
  • 必要なツール定義だけを読み込むツール検索と、コードからのプログラム的なツール呼び出し
  • マルチエージェント(サブエージェントが独自の文脈で並列に動き、メインが統合)
  • 実行環境:OpenAI ホストのサンドボックス、自社の VPC、または Blaxel・Cloudflare・Daytona・DigitalOcean・E2B・Modal・Oracle・Runloop・Vercel などの提携先

セッション作成の形は公式ページの例が分かりやすいので、要点だけ抜き出します(筆者は未実行です)。

// Agents API でクラウドエージェントのセッションを作る(公式例の要点)
import OpenAI from "openai";
const client = new OpenAI();

const session = await client.beta.agents.sessions.create({
  agent: {
    model: "gpt-6-astra",
    tools: [
      { type: "mcp", server_label: "observability",
        transport: { type: "http", server_url: "https://observability.example.com/mcp" } },
      { type: "computer_use" }              // 今回追加:OpenAI ホストのブラウザー操作
    ],
    multi_agent: { enabled: true, max_concurrent_subagents: 3 }
  },
  environment: { type: "openai_hosted", desktop: { enabled: true } },
  input: "直近 30 分の service-api の 5xx 増加を調査し、原因と対処案を /workspace/outputs に保存して"
});

コンピューター操作のガイドで大事なのは、新しい Web サイトのオリジンごとにユーザーの承認が必要という設計です。エージェントが未知のサイトへ行こうとすると computer_use_approval_request というイベントが来て、アプリ側が承認・拒否を返します。サインインもアプリ側が処理し、入力した値はモデルに渡りません。「ネットワークを有効にしただけでは、どこへでも行けるわけではない」点は、自前でブラウザー操作を組んでいた人ほど安心できる仕様です。

公式「Agents API のご紹介」ページ。2026 年 9 月 10 日の日付と、ノート PC の前で話す人物の動画サムネイル

Agents API の紹介ページ。追加料金はなく、トークン・ツール・コンテナの料金のみ(2026-09-30 撮影)

料金は Agents API 自体には課金がなく、モデルのトークン、ツール、OpenAI ホストのサンドボックス(コンテナ料金)だけです。データレジデンシーは米国のみで、ZDR(ゼロデータ保持)には対応していません。

AWS との連携も発表されました。Amazon Bedrock Managed Agents for OpenAI は、この Agents API を土台に AWS のカスタマイズと連携機能を加え、顧客が管理するコンピューティング環境と AWS リソースを使うものです。講演では「AWS の顧客はフロンティアモデルに加え、Codex と ChatGPT Work も使える」と述べられました。

Private Intelligence:本文を残さず安全審査だけ行う

企業向けで見逃せないのが OpenAI Private Intelligence です。「ZDR with Private Safety Processing」と「Private Inference(プレビュー)」の 2 つからなります。講演では「最も繊細な仕事にもフロンティアの知能を使えるように、最大級の顧客と一緒に設計した」と説明されました。

OpenAI 側と顧客側に分け、API 応答→選別と暗号化→顧客のストレージへ→取り出し→審査ランタイム→信号だけが出る、の 6 段階を矢印でつないだ図

図9:本文は顧客のストレージにしか置かれず、OpenAI 側で人が読む経路がない(静止画版)

これまでの ZDR は「保存しない」代わりに、OpenAI 側の安全審査(悪用の検知など)と両立させにくい面がありました。Private Safety Processing は、それを次の 3 原則で解決します。

  1. 顧客がコンテンツを管理する:安全分類器などで選ばれた対話だけを二重に暗号化し、顧客の S3・Azure Blob・GCS に保存する。保持は 30 日。顧客が鍵の許可を取り消せば復号できなくなる
  2. 人によるレビューなし:復号はハードウェアで証明された審査ランタイムの中だけ。出力は「安全上の懸念の有無」のような限られた信号だけ
  3. 保持は安全目的のみ:学習には使わない
開発者ドキュメント「ZDR with Private Safety Processing」。3 原則と 2 つのフローの説明

Private Safety Processing のガイド。ZDR 承認済みの組織が、プロジェクト単位でストレージを登録して有効化する(2026-09-30 撮影)

Private Inference は、コンフィデンシャルコンピューティングを使って推論時のプライバシーを保証するもので、まだプレビューです。

講演ではインフラの実績として「Responses API はこの 1 年で 100 倍に成長し、99% 超の信頼性を維持。最初のトークンまでの時間を 45% 短縮、ツール呼び出しとワークフローを 30% 以上高速化」という数字も示されました。これらは講演での主張で、公式ページには詳細がありません。

第 4 の柱:配布と商売 ── Sign in with ChatGPT、プラグイン拡張機能、Marketplace

最後の柱は「作ったものを、どう人に届け、どう売るか」です。講演では「毎週約 12 億人が ChatGPT を使っている。私たちが ChatGPT を作るのに使っている道具を、あなたにも渡す」と切り出されました。

ChatGPT の利用者→あなたのアプリ→利用枠の持ち込み、プラグイン拡張機能→ChatGPT の中→OpenAI Marketplace の 2 行 6 箱の流れ図

図10:「配る場所」と「支払いの財布」を OpenAI が用意する 3 つの道(静止画版)

Sign in with ChatGPT:利用者のプランの枠を持ち込める

Sign in with ChatGPT は、ChatGPT アカウントで外部アプリにログインする仕組みです。それだけなら Google や Apple のログインと同じですが、違いは利用者が別途承認すると、その人の ChatGPT プランに含まれる利用枠(トークン)をあなたのアプリで消費できる点です。

講演の言い方を借りれば「すでに AI に月額を払っている人が、あなたのアプリを試すときに、あなたがトークン代を肩代わりしなくてよい」ということです。利用者側は、どのアプリにどれだけ使わせるかの上限を設定できます。

OpenAI ヘルプセンター「Sign in with ChatGPT」の先頭。Overview と Availability の見出し

ヘルプセンターの説明。渡るのは名前・メール・プロフィール写真のみで、会話やメモリは共有されない(2026-09-30 撮影)

公式の記載で押さえておく点は次のとおりです。

  • アプリに渡るのは名前・メールアドレス・プロフィール写真だけ。会話、メモリ、ファイル、請求情報は渡らない
  • 利用枠の共有は ID のサインインとは別の承認。承認しなくてもサインインだけはできる
  • 初期パートナーは Airtable・GitLab・HubSpot・Notion・Supabase・Vercel(講演では「16 の launch partner」と説明)
  • 組織では Admin Console の External access で管理。既定では有効だが、既存の許可・拒否ポリシーが優先
  • 開発者向けの参加は、当面は申し込みフォーム経由

プラグイン拡張機能:ChatGPT の中に「アプリ全体」を置く

プラグイン拡張機能(Plugin Extensions)は、プラグインを ChatGPT の主要な画面に組み込む仕組みです。これまでのプラグインが「会話の中でツールを呼ぶ」ものだったのに対し、拡張機能ではエディターやダッシュボード、作業スペースそのものを ChatGPT と Codex の中に置けます。

開発者ドキュメント「Plugin Extensions」。サイドバーにプラグインが表示された画面のイラストと Try it out の項

拡張機能のドキュメント。サンプルの「Bits & Bolts」プラグインで動きを試せる(2026-09-30 撮影)

ドキュメントに挙げられた入口は 9 種類です。

入口できること
Sidebar appsサイドバーに専用の場所を持つ
Conversation panels会話と並行して使えるパネル
Plugin settingsプラグイン固有の設定画面
File viewers and editors対応するファイル形式のビューアー・エディター(例:.stl)
Display modes表示モードの切り替え
Deep links特定の画面へのリンク
Model-App Contextアプリの状態をモデルに渡す
Composer mentions入力欄で @ メンション(デスクトップアプリ)
Rich forms選択肢つきのフォーム

講演では、ChatGPT 内で会議一覧を見てメモを取り始めると Space のページになる「Meetings」アプリ、デザインを開いてコメントを見ながら修正を頼める Figma、Photoshop の機能を ChatGPT 内で使う Adobe の例が示されました。技術的には MCP(Model Context Protocol)と MCP Apps の仕様を拡張したもので、TypeScript と Python の SDK が用意されています。Free と Go プランの Web は「近日」です。

周辺の発表も表にまとめます。

発表内容
Plugin Creator・申請フローの改善作成を支援し、審査の状況を追い、修正点を確認し、人の審査を依頼でき、ツールの更新で申請をやり直さなくてよい
会話内での発見質問の内容から役立つプラグインを ChatGPT が認識し、その場で接続を提案
Sites とプラグインの連携作った Site に対応プラグインを組み込み、チームの各自が自分の権限でログインして使う
MCP Events提案中の仕様。接続アプリの出来事(例:プロジェクトボードに新タスク)をきっかけにプラグインが自動処理を始める

OpenAI Marketplace:契約額でパートナー製品を買う

OpenAI Marketplace は、企業が OpenAI との既存の利用契約額の一部を、承認済みパートナーのソフトウェア購入に充てられる仕組みです。公式ページによると最初のパートナーは 32 社で、クリエイティブの Adobe と Figma、顧客体験の Sierra・Decagon・HubSpot・Salesforce・ServiceNow、法務の Harvey と Legora、サイバーセキュリティの Palo Alto Networks と CrowdStrike などが含まれます。講演では CodeRabbit・Notion・Vercel の名前も挙がり、提携先を通じてオープンソースモデルも購入できると述べられました。

開発者から見ると、「OpenAI と契約している企業の予算」に自社製品を並べてもらえる、という新しい販路です。

講演で語られたその他のこと

公式ページには項目として載っていないものの、講演で語られた内容をまとめます。

  • 要望への対応の振り返り:Codex の Linux 対応、複数フォルダーを 1 プロジェクトで扱う機能、スマホ版は、この 1 年で要望に応えて出したもの
  • Codex ハーネスのオープンソース化:Codex work と dots を動かすハーネスは公開されており、中身を見て自分で組めると強調。夕方のセッションで「openclaw enterprise harness」というオープンソースの取り組みも紹介されると予告
  • Astra Adventures と 3D ワールドのデモ:会場の写真から 3D 空間を作り、Ultrafast で「dots を席に飛ばして」「ライブ配信を大画面に」と即座に変える。Astra がブラウザー操作で自作ゲームの遊び方を学ぶ様子も
  • iPhone アプリの監査デモ:アプリの画面(appshot)を渡して「画面サイズごとに監査してスクリーンショットを撮って」と頼むと、Codex がシミュレーターを操作する
  • ロボットのデモ:Hugging Face の小型ロボット「MicroDuck」に、Astra の視覚、GPT Image 2.5 の画像生成、GPT Live 1 の音声を数時間で接続し、会場の写真から絵を描かせた。Decisions API と組み合わせて、見たものに応じた速い動作を実現する構想
  • プランのリセット:「リセット会社と改名しようとしている」という冗談とともに、全ユーザーの利用枠をリセットする演出
  • 締めくくり:「AI は新しい産業革命ではなく新しいルネサンスであるべきだ」という Sam Altman 氏のメッセージ

デモは音声入力が何度か不調で、文字入力に切り替える場面がありました。ライブデモの常ですが、「音声で Codex を操作する」体験は会場で完全には見せられていません。

従来と何が変わるのか:立場別のまとめ

ここまでの発表を、読者の立場ごとに「明日から何が違うか」でまとめます。

ChatGPT を仕事で使う人

  • 「質問して答えをもらう」道具から、担当範囲を渡して任せる道具(dots)が加わった。使いこなす鍵は、任せる範囲と承認のルールを言葉にすること
  • 文書は Space の Living Page で、AI とチームが同じページを直接編集する形になる。Slack・メールの新着を起点に AI が動く(チームタスク、MCP Events)ので、ChatGPT を開かない時間にも仕事が進む
  • 費用面では、最初の dot はプランに含まれ、dot との会話は上限に数えられない。速さが必要なら Pro 500

OpenAI の API でアプリを作る人

  • 主力モデルは GPT-6.1 Sol($2 / $10、キャッシュ入力 $0.10)に移し、難問だけ Astra に回す構成が公式の勧め
  • 応答時間が価値になる場面では Ultrafast(6 倍の料金)を service_tier で指定。WebSocket が前提
  • 「選ぶだけ」の判断は Decisions API(Luna)に分ける設計が、今後の標準になりそう。ただし詳細は未公開
  • エージェントは Agents API で、ハーネス・コンパクション・サブエージェント・サンドボックス・ブラウザー操作を OpenAI に任せられる。自前で組んでいた部分をどこまで移すか、検討の余地がある
  • Sign in with ChatGPT で、利用者のプランの枠を使ってもらえる。試用のトークン代を負担しない配布が可能になる

企業の情シス・管理者

  • dots と専門 dots は、専用 ID・カスタムルール・アクティビティビューで統制できる。Enterprise は管理者が有効化しないと使えない
  • Ultrafast は Enterprise で既定オフ。Sign in with ChatGPT の委任アクセスも Business / Enterprise では既定オフで、Admin Console から管理する
  • 機密データを扱うなら Private Intelligence(ZDR + Private Safety Processing)で、本文を OpenAI に残さずに安全審査を受けられる。自社のクラウドストレージと鍵の運用が前提
  • OpenAI との契約額を Marketplace でパートナー製品に使える。予算の組み方が変わる

まとめ

DevDay 2026 の発表を一言で言えば、「ChatGPT に来てもらう」から「AI が仕事の現場へ出向く」への転換です。dots は担当者として Slack や電話の向こうにいて、Space では文書の中に AI が同居し、Codex はクラウドで勝手に働き、Agents API は他社のアプリの中でも同じハーネスを動かします。

モデル面では、GPT-6.1 Sol が「Astra に迫る性能を 5 分の 1 の価格で」という位置を取り、Ultrafast と Decisions API が「速さ」を別の軸で売り始めました。配布面では、Sign in with ChatGPT とプラグイン拡張機能、Marketplace が、開発者に「12 億人への入口」と「企業予算への入口」を用意しています。

一方で、Decisions API の仕様と料金、Private Inference、専門 dots、GPT-6.1 Sol の Ultrafast は、まだプレビューか近日提供です。「発表された」と「今日使える」は別なので、この記事の表の「対象・提供状況」を手がかりに、自分のプランで何が使えるかを確かめてから試すのがよいでしょう。

次のステップとしては、次の 3 つをおすすめします。

  1. Pro または Business Premium なら、デスクトップアプリで最初の dot を作り、読み取り専用の範囲から任せてみる
  2. API を使っているなら、gpt-6-sol を gpt-6.1-sol に切り替えて評価を取り直し、キャッシュ入力の割合を確認する
  3. エージェントを自前で組んでいるなら、Agents API のクイックスタートで、コンパクションとサブエージェントを OpenAI 側に任せた場合の手間と費用を比べる

参考リソース

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