近年、生成AIの分野では大手各社が激しく競い合っており、次々に新しい大規模言語モデル(LLM)が公開されています。特にGoogleは、ここ数か月で目まぐるしいアップデートを行い、画像生成機能やAIエージェントによるレポート作成機能「ディープリサーチ」など、多彩な機能を無料公開してきました。そんな中、新たに登場したのが「Gemini 2.5 Pro」です。名前こそまだ大きくは報じられていませんが、高いコーディング能力とマルチモーダル(音声や動画を含む)な入力対応が大きな強みで、すでにOpenAIやAnthropicのモデルに匹敵する性能を発揮していると注目を集めています。
本記事では、Gemini 2.5 Proの特徴や具体的な使い方、そして今のうちに無料で体験する価値について、できるだけ分かりやすくお伝えします。
Geminiシリーズの位置づけと「2.5 Pro」の特徴
Googleが提供している大規模言語モデルは、英語表記で「Flash」「Pro」「Ultra」という3つのグレードに大きく分かれています。Flashが最も軽量で、Ultraが最上位という構成です。今回登場した「Gemini 2.5 Pro」は、その中間に当たるProグレードをベースとした新しいモデルとして位置づけられています。
この「2.5 Pro」は単なるマイナーバージョンアップではなく、回答を出力する前に「Thinking」と呼ばれる思考プロセスを挟む仕組みになりました。これによって、論理的なタスクやコーディングのようにステップを踏んで考える作業でも、より高精度な回答を得られるようになっています。たとえば、コード生成やバグの修正、あるいは数万文字のロングテキストの要約など、これまでより複雑な問いにも対応できるのが魅力です。
さらに大きな特徴としては、マルチモーダル入力への対応が挙げられます。テキストや画像だけでなく、音声・動画ファイルをそのままアップロードして、そこから文字情報を抽出したり要約したりといった処理が可能になりました。特に音声や動画の「誰が話しているか(話者の識別)」まで実行できる点は、これまで別のAI技術を組み合わせる必要があった工程を一括で済ませられるため、多くの場面で役立ちそうです。
なぜ高性能なのか?他社モデルとの比較
「Gemini 2.5 Pro」の性能は、OpenAIのGPT-4相当モデルやAnthropicのClaude 3.7に近いレベルと評価されています。実際のベンチマークでも、タスクの内容によっては同等かそれ以上のスコアを示すケースもあるようです。特にコーディングに関する能力が高いという結果が出ており、コードの自動生成やデバッグ、最適化の提案などを得意としています。
また、Googleの豊富な計算資源や検索エンジンとの連携機能も強みの一つです。オプションとして「Google Searchを使って回答する」モードを有効にすると、最新のウェブ情報を参照しながら回答を生成してくれるため、ドキュメントベースの回答だけではカバーしきれない新しい話題にも対応できるのが嬉しいポイントです。
使い方と注意点
Google AI Studioで触ってみる
「Gemini 2.5 Pro」を気軽に体験する方法として、Google AI Studioがあります。ここでは無料でモデルを呼び出し、チャットのように指示を与えて回答を得ることが可能です。モデルを選択する画面で「Gemini 2.5 Pro (Experimental)」を選ぶだけで、すぐに試すことができます。
たとえば、「生成AIの勉強計画を立ててほしい」「特定のニュース記事を要約してほしい」という要望を投げかければ、思考過程を挟んだ上で高品質の回答が返ってきます。さらに「Grounding with Google Search」をオンにすると、実際の検索結果を参照して最新情報を取り込みながら答えてくれます。
注意点としては、AI Studio上で入力したデータがGoogleの学習やモデル改善に使用される可能性があるという点です。そのため、機密性の高い情報は扱わないようにするか、業務で本格的に使う場合は有料プランを利用するなどの対策が必要です。
Gemini Canvasでドキュメントを共同編集
「Gemini 2.5 Pro」を活用できるもう一つの場所が、Gemini公式サイトのWebアプリです。ここで「Canvas」という機能を選ぶと、AIと対話しながら文章を同時編集できる共同編集ツールが使えます。
文章の一部を選択すると、トーンを変えたり長さを調整したりといった微調整がワンクリックで可能になります。最終的に仕上がった文章は、Googleドキュメントへエクスポートするだけなので、ブログやレポートの執筆がさらに快適になります。
APIを使って開発と連携
また、APIの形でGemini 2.5 Proにアクセスすることもできます。発行されたキーをVS Codeの拡張機能「Cline」などに設定すると、コードエディタ上から直接「Gemini 2.5 Pro」に問い合わせながら、コーディングの支援を受けられるようになります。
今なら1分間に数回までのリクエストが無料で利用可能ですが、こちらも数週間後には有料化が見込まれるため、興味のある方はできるだけ早く試してみるのがおすすめです。
「Cline」などのツールと組み合わせると、デバッグやコードレビューをAIに任せられるだけでなく、書きかけのプログラムの続きを自動生成してもらうことも可能です。特に、コードの補完能力は非常に高いと評判で、他社の有名モデルとも十分に渡り合えるでしょう。
音声・動画入力対応がもたらす新しい可能性
今回のアップデートで特に目を引くのが、マルチモーダル(音声や動画)入力への対応です。これまで音声や動画ファイルから情報を抽出しようとすると、まず文字起こしツールを使ったり、話者識別ツールを別途用意したりといった複数のステップが必要でした。
しかし、Gemini 2.5 Proでは、ファイルをそのままアップロードすれば、誰が何を言っているのかまで自動で文字起こしや議事録化をしてくれる可能性があります。たとえば、営業担当が顧客と打ち合わせした録音データから対応状況を分析したり、オンラインセミナーやポッドキャストの内容を一瞬で文章化したりといった使い道も期待できます。
ただし、こちらも業務での利用時には情報の取り扱いに注意しなければなりません。機密性の高い会話やプライベート情報を含むデータをアップロードする際は、Google側に学習データとして使用されないプランを選ぶなどの対策を検討しておきましょう。
今のうちに無料で試す価値
「Gemini 2.5 Pro」は今なら無料で使えるだけでなく、性能的にも非常に魅力的です。大規模言語モデルの中ではコストとクオリティのバランスが優れているため、特にコーディング用途や長文処理を必要とする作業を行う方は、早めの検証が得策だといえます。
将来的には正式版(プロダクション版)がリリースされ、有料化される流れがほぼ確実視されています。実運用の際には、企業やチームで使える契約プランも登場するかもしれませんが、少なくとも現在の「Experimental」段階で触れる価値は十分にあるでしょう。実際に試してみて、自分のプロジェクトやビジネスに合うかどうか、どんなメリットが得られそうかを見極めておくと、今後の導入判断がスムーズになります。
まとめ
Googleの「Gemini 2.5 Pro」は、ここ最近の生成AI業界で最も注目すべき新モデルの一つです。マルチモーダル対応や高いコーディング能力、さらに検索連携による最新情報の反映など、ライバルとなるOpenAIやAnthropicと肩を並べるどころか、部分的にはリードしている点も見受けられます。
一方で、現時点では入力データの取り扱いや将来的な料金の面で注意が必要です。ビジネスユースを考えるなら、有料プランやエンタープライズ向けのソリューションを導入することで、安全に活用できるようになるはずです。それまでの間、無料枠が残っている今のうちに、ぜひ試験的に活用してみてはいかがでしょうか。
これからもGoogleをはじめ、各社のAIがどんどん進化していくので、自分に合ったツールを見つけて活用できるようにしておくと、日々の業務や学習の生産性がさらに高まるはずです。