はじめに ── n8n と Make が注目される理由
生成AIブームとともに「ノーコードで自動化フローを構築し、AIエージェントと連携させる」というニーズが急増しています。
中でも n8n と Make(旧 Integromat) は、ドラッグ&ドロップで API や SaaS をつなぎ、複雑なビジネスロジックまで実装できる定番プラットフォームです。
本記事では、以下の 3 つの評価軸──①始めやすさ ②“今”の利用しやすさ ③製品&スキルの将来性──で両ツールを比較し、「AIエージェントを武器にしたい人」にとって最適な選択肢を整理します。
1. 3つの評価軸で徹底比較
評価軸 | 概要 | 先に結論 |
---|---|---|
① 始めやすさ | 料金体系・学習コスト | コスト=n8n、学習容易性=Make |
② 今の利用しやすさ | モジュール数・テンプレート・教材 | テンプレ量=Make、教材量=n8n、柔軟性=n8n |
③ 将来性 | AI 連携・OSS 文化・市場伸長 | n8n が一歩リード |
2. 【軸①】始めやすさ
2-1. コストパフォーマンス
- n8n は「フロー全体を 1 実行=1タスク」で課金。
- 長いフローでも 1 カウントなので データ変換や API 連携が多段化する AI エージェントに向く。
- Make は「モジュール 1 つ=1オペレーション」。
- 短いワークフローを多数動かす用途では安価に見えますが、AI 連携でモジュールが増えるほど割高 になりやすい。
結論:フローが長くなるほど n8n の方が実質コスパ良好。
2-2. 学習のハードル
項目 | Make | n8n |
---|---|---|
UI | 完全 GUI | GUI+コードエディタ |
定型入力 | プルダウン選択中心 | JSON / JS を直接編集 |
初心者負荷 | 低 | 中(GPT 補助で軽減可) |
Make は「パワポ感覚」で進められるため、ノーコード初学者には取り掛かりやすいです。
3. 【軸②】“今”の利用しやすさ
3-1. モジュール/テンプレートの豊富さ
- Make:7,000 以上の公式テンプレートが用意され、Slack 通知や Google Sheets 更新など 組み立て例が豊富。
- n8n:テンプレートは約 2,000。ただし 自作ノード やコミュニティプラグインで補完できます。
3-2. 教材・コミュニティエコシステム
- Google 検索・YouTube 動画数ともに n8n が右肩上がり。OSS 文化ゆえに海外フォーラムや GitHub Issue で情報を得やすい環境が整いつつあります。
- Make は公式ドキュメントこそ充実していますが、日本語解説はまだ少なめです。
3-3. フロー設計の柔軟性
- n8n は if/else・ループ・サブルーチン呼び出しがネイティブで実装可能。JavaScript 関数を挿入してデータ加工も自在です。
- Make は視覚的で分かりやすい一方、「カスタム HTTP → JSON 解析 → 変数整形…」と ノード数が肥大化しがち。複雑フローでは保守コストが増えやすい点に注意。
4. 【軸③】製品&スキルの将来性
4-1. AIエージェントとの親和性
AI エージェント開発では API 呼び出し/JSON 解析/外部 DB 連携 が必須です。
- n8n は JSON 処理が標準装備、Node.js ライブラリを埋め込むことも容易。
- Make でも実装可能ですが、細かなロジックは「Code 端末」に JavaScript を書く必要があり、GUI の恩恵が薄れる場面が少なくありません。
4-2. オープンソース vs. クローズド
観点 | n8n (OSS) | Make (SaaS) |
---|---|---|
透明性 | コード閲覧可。セキュリティ監査も自力で可能 | ブラックボックス |
拡張性 | 自作ノード・セルフホストが自由 | 公式ロードマップ頼み |
ベンダーロック | 低 | 中 |
OSS の n8n は セルフホスト (Docker) 運用 → 企業内 API ハブ といったスケール戦略が取れる点で将来性が高いと言われます。
4-3. 市場トレンド
- Google Trends では n8n の検索量が 2024 年後半から急増。
- 投資ラウンド(シリーズB, $20M など)も公表されており、開発速度は加速傾向です。
5. 目的別おすすめツール
ユースケース | 推奨ツール | 理由 |
---|---|---|
ノーコード完全初心者が自動化を体験したい | Make | テンプレ豊富・UI直感的 |
AIエージェント/複雑フローを本格運用 | n8n | API 連携と JSON 操作に強い |
将来フリーランス/副業で自動化案件を受けたい | n8n 主軸+Make 併用 | OSS コミュニティと GUI テンプレ双方を武器に |
学習ロードマップ(二刀流戦略)
- ステップ1:Make
- テンプレを改変しながら「自動化思考」を養う
- 最低限の Webhook/API 呼び出しに慣れる
- ステップ2:n8n
- JSON 操作や関数ノードで“ロジックを組む力”を習得
- 自作プラグインやセルフホストで CI/CD × 自動化 へ拡張
6. まとめ ── 自動化スキルで差がつく未来
- Make は短期的に成果が出やすく、ノーコード入門に最適。
- n8n は AI 連携・OSS 文化・市場拡大の3拍子がそろい、長期的な武器 になります。
- どちらか一方ではなく 「まず Make、深掘りは n8n」 が最も堅実な学習パスです。
生成AIがもたらす新しい仕事は、「ツールをつなげてビジネスフローを再設計できる人」に集中します。
今日からノーコード/ローコード自動化の世界へ一歩踏み出し、未来のキャリアを先取りしましょう。